Norskskogkatta
PAST主こりゅ/さにこりゅリクエスト企画で書いたもの
小竜が気になり出す主とそれに気づく小竜夏から始まる
燦々と輝く太陽が真上に陣取っているせいで首に巻いたタオルがすでにびっしょりと濡れている。襟足から汗がしたたる感覚にため息が出た。
今は本丸の広い畑を今日の畑当番と一緒にいじっている。燭台切ことみっちゃんはお昼ご飯の支度があるから先に本丸にもどっていって、今はもう一振りと片付けに精を出しながらぼんやり考えていたことが口をついた。
「小竜って畑仕事嫌がらないんだね」
長船派のジャージに戦装束のときのように大きなマントを纏った姿に畑仕事を嫌がらない小竜に意外だなと思う。大抵の刀には自分たちの仕事じゃないと不評な畑仕事だけど小竜からは馬当番ほど文句らしき物を言われた記憶が無い。
「いやいや、これで実は農家にあったこともあるんだよ?」
これなんかよくできてると思うよ、と野菜を差し出される。まっかなトマトだ。つやつやして太陽の光を反射するくらい身がぱんぱんにはっている。一口囓るとじゅわっとしたたる果汁は酸味と甘さと、ちょっとの青臭さがあって我こそはトマトである!と言っていそうだ。
「おいしい!」
「だろうっ!」
手の中の赤い実と同じくらい弾けた笑顔にとすっと胸に何かが刺さった気が 3868
Norskskogkatta
PAST主こりゅ(男審神者×小竜)主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
小竜視点で自分の代わりだと言われてずっと考えてくれるのは嬉しいけどやっぱり自分がいい小竜「ね、みてこれ! 小竜のが出たんだよー」
「へーえ……」
我ながら冷めきった声だった。
遠征帰りの俺に主が見せてきたのは俺の髪の色と同じ毛皮のうさぎのぬいぐるみだった。マントを羽織って足裏には刀紋まで入ってるから見れば小竜景光をイメージしてるってのはよくわかる。
「小竜の代わりにしてたんだ」
「そんなのより俺を呼びなよ」
「んー、でも出かけてていない時とかこれ見て小竜のこと考えてるんだ」
不覚にも悪い気はしないけどやっぱり自分がそばにいたい。そのくらいにはこの主のことをいいなと感じているというのに本人はまだにこにことうさぎを構ってる。
今は遠征から帰ってきて実物が目の前にいるってのに。ましてやうさぎに頬ずりを始めた。面白くない。
「ねぇそれ浮気だよ」
「へ、んっ、ンンッ?!」
顎を掴んで口を塞いだ。主の手からうさぎが落ちたのを横目で見ながらちゅっと音をさせてはなれるとキスに固まってた主がハッとしてキラキラした目で見上げてくる。……ちょっとうさぎが気に入らないからって焦りすぎた。厄介な雰囲気かも。
「は……初めて小竜からしてくれた!」
「そうだっけ?」
「そうだよ! うわーびっくりした! 619