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    #増藻になんかください

    renard2525

    DONE #増藻になんかください

    全部捏造です!!!!全部妄想です!!!
    MASHIMOさんちのねりねちゃんをお借り(?)しました。
    『姫彼岸』

    月が見え隠れするような、まだ肌寒い夜半の春のこと。しんと寝静まった家々の隙間をひとり、提灯も持たずに歩く影があった。決して治安が良いとは言えない裏通りにカツンカツンとただ一人分の下駄の音が響く。
    見たところ、家路に急ぐうら若き娘か。滅紫色の着物の彼女は不幸にも目をつけられてしまった。気配を感じたのか、女は怯えたように少しずつ小走りになっていく。
    そうして背後を振り返ることもなく、ずんずんと人気のない方へ迷い込んでいった。

    怪しい影と、闇雲に逃げていく女。
    彼女の後をぴたりとつけていた幾つかの足音が、やがて止まった。彼女がちょうど曲がった先は行き止まり。獲物はもはや袋の鼠だ。
    しめしめと男達は顔を見合わせ頷くと、各々の武器に手をかけつつ躍り出た。

    「なっ……!」

    仄暗い月明かりに照らされたそこで、女は此方を気にもせず背を向けて凛と立っていた。ともすれば男に見紛うようなすらりとした長身に、夜を溶かしたような漆黒の髪と揃いの長羽織。そして何より異様なのは、年頃の娘が背負うには到底相応しくない代物。

    刃渡りだけでも4尺は超えるであろう巨大な両手刀だった。

    男衆が思わずた 1505