kanashiki79
DONE2023/3/21七猪WEBオンリー「海より大きな猪は出ぬ」のアンソロ寄稿分です。#海より猪_after
※デイリー更新にはノーカウント、支部個人アカウントにも置きません
お題:体温計。
いつもより長いよ。
白粥 赤い顔をした猪野が、自宅のベッドで横になっている。春めいてきた気候とはいえ、一人の部屋は広くて、寒々しい気がする。
体は、熱くて、寒い。
繰り返す波の合間で、猪野の意識は今、少し浮上している。
ぼんやりしているうちに、ガチャ、と小さな小さな音が玄関先から聞こえ、猪野は耳をそばだてた。キィ、パタン、と、これも微かな音のあとで、静かな足音が、近づいてくる。
「…琢真」
密やかな低音の囁き声は、七海だ。なんとなく、そう、なんとなく、猪野はそのまま目を瞑り、寝たふりを続ける。
七海は無言のまま、猪野の額へ手を当て、熱を測る。ふむ、と小声を漏らすと、アイスジェルシートを貼りつけた。
「…んぅ、冷た…」
思わず猪野は声を漏らし、七海の困った声が、問いかける。
2160体は、熱くて、寒い。
繰り返す波の合間で、猪野の意識は今、少し浮上している。
ぼんやりしているうちに、ガチャ、と小さな小さな音が玄関先から聞こえ、猪野は耳をそばだてた。キィ、パタン、と、これも微かな音のあとで、静かな足音が、近づいてくる。
「…琢真」
密やかな低音の囁き声は、七海だ。なんとなく、そう、なんとなく、猪野はそのまま目を瞑り、寝たふりを続ける。
七海は無言のまま、猪野の額へ手を当て、熱を測る。ふむ、と小声を漏らすと、アイスジェルシートを貼りつけた。
「…んぅ、冷た…」
思わず猪野は声を漏らし、七海の困った声が、問いかける。