多だ野(裏)
PROGRESSとりあえずできたところまで。多分全体の1/2~2/3くらいまで進んだ。三世の縁-夢 Ⅱ原風景 ――どのくらい意識を失っていたのだろう。
「――い……きろ…………、……って…………」
ひどく目蓋が重い。
僅かに清の意識が戻っていく。彼は、自分の瞼がピクリと反射的に動いたのを感じた。だが、まだ完全な覚醒には至らない。
「………か、おい…………めき………………ろって…………」
遠くから誰かが呼ぶ声が聞こえてくる。
その声が段々大きくなっていくのと同時に、清の意識も徐々に、明瞭に、深い海底から引き揚げられるように、浮上していく。
「……きろ……おい……起きろって…………」
かび臭い匂いが鼻につく。そういえば、自分はなぜ意識を失っていたのか。
――学校……では無い、今は春休み中だ。ミセも随分行ってない……そうだ、祖父の居る病院に行っていたのだ…………いや、しかしもう其処は出たはずだ。そのまま家に帰って……その後どうしたのだろう?
20685「――い……きろ…………、……って…………」
ひどく目蓋が重い。
僅かに清の意識が戻っていく。彼は、自分の瞼がピクリと反射的に動いたのを感じた。だが、まだ完全な覚醒には至らない。
「………か、おい…………めき………………ろって…………」
遠くから誰かが呼ぶ声が聞こえてくる。
その声が段々大きくなっていくのと同時に、清の意識も徐々に、明瞭に、深い海底から引き揚げられるように、浮上していく。
「……きろ……おい……起きろって…………」
かび臭い匂いが鼻につく。そういえば、自分はなぜ意識を失っていたのか。
――学校……では無い、今は春休み中だ。ミセも随分行ってない……そうだ、祖父の居る病院に行っていたのだ…………いや、しかしもう其処は出たはずだ。そのまま家に帰って……その後どうしたのだろう?
多だ野(裏)
PROGRESSxxx中毒。pixivに公開している拙作の続きの途中まで。あと2節続きます。長くなりそうなので、ちょくちょく進捗をあげていこうかと思います。(戻再開前には終わらせたい……)
全体通して本掲載は支部で、たぶんかなりの加筆修正が入ります。
これが最終話になる予定です。
https://www.pixiv.net/novel/series/8930776←1話目と2話目
三世の縁-夢 Ⅰ名残雪※百目鬼曾孫妄想話。(あくまでに個人の幻覚です。)
※1話目と2話目を読まないと色々分からないかも…
※オリキャラの主張がかなり激しい。
※当然の如く、コミック・OVAのネタバレがある。
大丈夫そうでしたらどうぞ→
学校指定の厚手のコートで登校すると少しばかり汗ばむような季節になった――と思った矢先に、随分と出遅れたように雪が降り積もった。大雪とまではいかないが、地面全体を白く覆い尽くすくらいの積雪ではあった。
「[[rb:名残雪 > なごりゆき]]だな」
このミセの店主――[[rb:四月一日 > わたぬき]]はそう言って、目を閉じ、熱燗の注がれた盃に口をつけた。長く柔らかそうな睫毛や白い喉仏が上下に動くさまを何とは無しに眺めて、不意に気恥ずかしくなった少年――[[rb:百目鬼清 > どうめきさやか]]は目を逸らす。逸らした先の前庭では、幼女たちとモコナが雪だるま作りに精を出していた。手袋含め全く防寒具を身につけていないようだが、寒くは無いのだろうか。同じ事はこのミセの店主にも言えた。足袋や羽織を身につけているとはいえ、洋装より通気性の優れた和服は、冬の季節には随分と寒そうに見える。しかし、店主は寒さなど微塵も感じさせない様子で、いつも通り気怠そうに煙管をふかしていた。一方の清とは言うと、平素の学生服姿でいながら絶えず冷気が侵入している室内で、火鉢の前から動けないで居る。
17498※1話目と2話目を読まないと色々分からないかも…
※オリキャラの主張がかなり激しい。
※当然の如く、コミック・OVAのネタバレがある。
大丈夫そうでしたらどうぞ→
学校指定の厚手のコートで登校すると少しばかり汗ばむような季節になった――と思った矢先に、随分と出遅れたように雪が降り積もった。大雪とまではいかないが、地面全体を白く覆い尽くすくらいの積雪ではあった。
「[[rb:名残雪 > なごりゆき]]だな」
このミセの店主――[[rb:四月一日 > わたぬき]]はそう言って、目を閉じ、熱燗の注がれた盃に口をつけた。長く柔らかそうな睫毛や白い喉仏が上下に動くさまを何とは無しに眺めて、不意に気恥ずかしくなった少年――[[rb:百目鬼清 > どうめきさやか]]は目を逸らす。逸らした先の前庭では、幼女たちとモコナが雪だるま作りに精を出していた。手袋含め全く防寒具を身につけていないようだが、寒くは無いのだろうか。同じ事はこのミセの店主にも言えた。足袋や羽織を身につけているとはいえ、洋装より通気性の優れた和服は、冬の季節には随分と寒そうに見える。しかし、店主は寒さなど微塵も感じさせない様子で、いつも通り気怠そうに煙管をふかしていた。一方の清とは言うと、平素の学生服姿でいながら絶えず冷気が侵入している室内で、火鉢の前から動けないで居る。