それはどっちのエゴ? 「今度、キスシーンの撮影をすることになったんだ」
トモセくんはそう、まるで業務報告をする時のテンションのように言った。
「そ、そう…なんだ…?」
逆に私は例えトモセくんが今をときめく人気俳優だとしても幼馴染で恋人だからこそ胸の内にもやもやとした黒いものが広がるのを感じる。そうしているとにやにやとトモセくんが見てくるのを見て、可愛げがないと分かりつつもつい…意固地になってしまった。
「頑張ってね、私…応援してるから!どんなドラマなのか楽しみだなぁ」
トモセくんが残念そうな顔をしていたのは気づいていた。けど…素直になるのには気が引けてしまって…いつものように私は引っ込みが付かなくなってしまったのだった。
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