よいこのどうわ ねそルの嫁入り ぬいのおやまの奥深くには、魔法の鏡もこの国一番と認めざるを得ないほど、優れた体と心をもつねそルが住んでいました。
ねそルの個体は多々いるものの、このねそルは少し風変わりなねそべりぬいぐるみでした。
元来ねそべりぬいのねそルは体を動かすのが大好きで、成長するにつれて綿やフェルトの質感が暮らし向きに適応した強靭なものへ変わっていくのですが、このねそルは体を動かすことより、空を流れ行く雲を眺めたり、山の中の鳥や獣達と歌を歌ったりする方が好きでした。
また、類まれなる幸運に恵まれたねそべりぬいでもありました。食事に困ったことはなく、嵐が来て食べ物や家が吹き飛ばされてしまうことがあっても、どこからともなくやってきた鴉の群れに何度も助けられてきました。
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