おつきあい「そうだ御手洗、これから付き合ってくれ!」
(宇宙猫になる御手洗)
「つき、あう………???」
「そんな…でも、えっ…桑原さん、ぼくと…?!わ、わ…!」
一人悶絶葛藤したすえにようやく。
深呼吸
「ふー… はい、喜んで!!」
ガシッ!!と桑原の手を取り、何故か覚悟を決めた男の顔をした御手洗。めっちゃ顔が赤い。
「なんか手汗すごいぞ御手洗?!顔も赤えし大丈夫か?!」
「うん、大丈夫。桑原さんは何があっても僕が守るから!」
「お、おお…そりゃどうもご親切に…」
「これから大変な事が沢山あるかも知れないけど、きっと何とかなると思う。今は頼りない僕だけど、これから絶対に桑原さんを笑顔にしてずっと幸せに――」
「ちょっちょっ!御手洗お前、急に何言い出すんだ?!?」
「へ?」
「さっきからプ、プロポーズみてえなこと言いやがってよ!」
「ええっ?だって桑原さんが先に…!!」
「………?」
「………?」
(宇宙猫🐱?)手をとりあったまま固まる二人
(間)
猛烈な勘違いをした上に一世一代の大告白をしてしまって恥ずかしくて消えたい御手洗。
「本当にごめんなさい」
「なあおい。そんな凹むなって。別に俺なんも迷惑してねえし。超ビビったけど…」
ズキッ…
「そうだね。忘れてください。何も無かったことに。」
「ううう〜ん難しいこと言いやがる…御手洗、お前ってほんと真面目過ぎるっつうかなんつーか」
呆れ気味にでもあっけらかんと笑い飛ばしてくれた。
「ちょっと一緒に出かけるだけなのに、何もそこまで畏まらなくてもよぉ〜!」
「そう、だね。」畏まってるんじゃなくて、本気なのに。何か少し違う意味で捉えられてる気がするけど、そういうことにしておこう。
「まあ、嫌な気はしねえぜ。でもよう、ああいう取っておきの台詞は本当に好きな女の子の為にだな…。なはーっ俺様って罪な男っ!」
桑原は満更でもなさそうに一人騒いでは照れくさそうに頭をかいている。軽蔑されることを恐れていた御手洗はそんな桑原を見て少しほっとする。
いつだって前向きで、人からの好意を素直に受け取れる。周りの心を解すような振る舞いを自然とやってのける桑原がやっぱり好きだなあと思う御手洗。
でも今はその温かさがさびしい。深刻さのない空気は、真に受けて貰えてない証拠だ。それに安堵すると同時に、切なかった。
(好きな子なら、目の前にいるのにな。)
「……」
桑原は御手洗を覗き込んだ。
彼の強い霊感が働かずとも、桑原は御手洗の後ろ向きな気配を感じとり、心配になった。桑原という男は大雑把なようでいて、他人のままならない感情に人一倍敏感でお人好しなのだ。
「……で、どうなんだ?御手洗。」
「…え?」
「付き合ってくれるかだよ。」
桑原のいつもの快活さが潜まり、穏やかな語気で尋ねた。言葉のあやとはいえ「付き合ってくれるか」などと甘い台詞を言われた上に、傷付いた子供を宥める大人のような底知れない優しさを見せられ、御手洗はなんだか泣きそうになった。
「……うん、勿論だよ!」
御手洗は出来るだけ桑原を心配させないように、心から微笑んだ。