慎重に角を合わせて畳む。指先でなぞって折り目をつける。何度か繰り返して平面から立体へと姿を変えたそいつをそっと掴んで空間へと滑らす。
思ったほど、美しく滑空してはくれなかった。
「ちょっ、甲斐田くん! 何してるんですか!」
「うーん、折り方間違えたかも。犬飼知ってる? よく飛ぶ折り方」
「そうじゃなくて! だってそれは」
それは? それは……なんだろね、わかんない。始末書か報告書か申請書か、そのどれかかな。多分。いや違うかも。紙だってことだけはわかるけど。
ああ、どうしよう、また書き直さなきゃ、余分に持ってたかな、印刷しないと……。
大きな独り言をぼろぼろと零しながら、積み上げられた書類やらファイルやらを軽く持ち上げては下ろし、ひっくり返しては覗き込みしたあとで、ようやく呼吸することを思い出したかのように大きく息を吸って小さく吐いて、それからPCを開いて何かを確認している。
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