ワンライ練習 遠くから師匠が歩いてきたのが見えたので、手を振りながら声を掛ける。
「師匠〜!」
「……んだよお前かよ」
ちょっと不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた師匠は、一瞬ピリついた空気を纏いながらもすぐ俺と気付くと少し穏やかな顔つきになった。
そんな微妙な違いに嬉しさを覚えつつ。
「どこか行くとこでした?」
「いや、別に」
ふと手元に目を移すと、血に濡れていたので思わず手を取るが、見た限りでは怪我などはしてないようなので安心する。
「良かった。怪我してるわけではないですね」
「ああ、さっき変なのに絡まれてな」
持っていたタオルで返り血を拭けば、自分で出来ると言いたいのかタオルをぶんどられる。
「師匠今暇ですか?」
「まぁ、暇っちゃ暇か」
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