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    ばらばら

    @SF_BARA_BARA33
    アレな落描きとか雑な落描きとか

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    ばらばら

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    独白

    #創作sf
    creationSf
    #独白
    monologue

    彼の出す音に意味と何か法則があることに気が付いてからそれがコミュニケーションの一つであると知った。

    彼は視覚的に私の状態を察してくれはするが私の心の底までは理解できないだろう。
    あぁ オリジナルに言わせれば死に損ないであり出来損ないの私に心なんてあるのか
    そう問われた時に 私は最初は無かったと答えるだろう。
    彼を取り込むべきではないと理解し彼が与えてくれる食事を取り込んでいただけだった。
    ある時 体内部がざわついて彼に取り込む真似を見かけの頭部をぐりぐりと擦り付けてみた。
    すると幾分か心が楽になったのだ。
    私の友人でありルームメイトであるアールワンは よく愛情表現について私に教えてくれる。
    手を繋ぐことであったり頬を触ること 寝ている彼の布団を直すことは愛情表現であると
    それは種族によって違うがバートはこうすれば喜ぶと私に教えてくれた。

    愛情表現とは
    それは内なる心のざわつきを静めることであると理解し私の身体をぐりぐりと擦り付けることもそれに値する。
    私はお礼にアールワンに頭部を擦り付け伸びていた一本の手に自分の見かけの手で触れてみた。

    君の愛情表現はそれなんだね

    そう理解して貰えた時はとても嬉しかった。アールワンはバートにもそう言うと彼はとても喜んだ。

    あれはやっぱりそう言うことだったんだぁ
    ボクね そうじゃないかなーって思ってたんだよ

    目と口の形を変えながらそう言い私を抱き上げる。そして顔を近付けてぐりぐりと私の身体に擦り付けてきた。
    私も顔を擦り付ける。
    そしてバートの口の形を真似してみる。すると彼は

    笑った!可愛い

    と言い更に喜んでくれた。
    私には見かけで表現するコミュニケーション方法があった。
    自分の気持ちがバートとアールワンに伝わりとても嬉しく思った。

    だが
    私はどうしても 声 が欲しかったのである。

    ある時私を膝の上に乗せてアールワンを側に置きバートは機嫌良く会話をしていた。
    私はいつものようにそれを聞いていたのだがアールワンも同じように会話をし始める。
    そこでいつもと違う会話であると気が付いた。
    身体を揺らしながら笑顔(アールワンがバートにはいつも笑顔でいてほしいと言っていたことからこの顔の形の名称をそう推測する)でアールワンと共に音を出す。

    ボク 歌上手でしょ

    うん とっても上手!アールワンはバートの歌好きだよ!

    えへ〜 アールワンも歌上手だね ボクの故郷の歌を教えてあげる

    会話の他に歌というコミュニケーション方法を知った。
    そしてそれがとても好きになった。

    どうにかして声が欲しかった。
    口を開閉するも何も音は出ない。私には身体を動かす時に小さく聞こえる 服と身体が擦れ合う音しか出せないのだ。

    オリジナルはどうやってバートと同じように声を得ているのだろう。
    あれも私と同じスライム体である。知能の差はあるが私にもオリジナルと同じことが出来ないだろうか。

    バイトくん 食事を持ってきた

    ありがとうございます!

    オリジナルは瓶をバートに渡す。バートは必ずそれを私にくれた。

    ねぇ 博士 ボク歌上手なんですよ 故郷の歌を歌ってあげましょうか 暇でしょ

    私は食事を止めてバートを見た。
    歌が聞きたかったのだ。
    だが
    オリジナルはとても不機嫌そうな声を出した。

    いい 歌なんて嫌いだ 神を称える歌なんて1アストロ秒たりとも聞きたくはない

    私はここでオリジナルを見た。
    恐怖と憎悪から普段はあまり見たくはなかったのだがこの時は奴の顔を真っ直ぐと見た。

    はぁ?賛美歌のことですか?ボクそんなの歌えませんよ なんか川に遊びに行く歌

    いい そんなの とにかく私は歌が嫌いである そして忙しい

    へぇそうですかぁ〜 いいもんアールワンに聞いてもらうから

    バートは不機嫌そうな声を出していたがアールワンに向き直るとまた楽しそうに歌い始めた。

    それなのに私は先程のオリジナルの言葉が気になっていた。
    歌が嫌いである
    そう聞いて何故私は悲しい気持ちになるのだろう
    私はアレと同じである
    クローンと呼ばれている
    私はオリジナルが拒絶したように歌は歌えないのかもしれない

    上手でしょ

    私はバートに擦り寄った。

    君も聞いてた?上手でしょ

    私はバートの手に触りそしてバートの身体にも頭をこすりつけた。

    上手って言ってる!ねぇそうだよね

    機嫌の良さそうな彼を見ていると少し嫌な気持ちが薄れていくようだった。


    いつか君も博士みたいにお喋り出来るようになったら一緒に歌おうね


    バートは私の頭を撫でながらそう言った。

    この時 私はとてもとても安心した。
    あぁ よかった
    私はやはり彼が好きだ。彼に会えて良かった。彼が私に良くしてくれて本当に嬉しかった。

    ありがとう

    私に声があったのならこう言っていただろう。
    私は諦めない。
    いつか必ず彼に私の声で私の気持ちを伝えてそして彼と私とアールワンで歌を歌うのだ。
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