遠くない未来 「…僕、ユウキが死んだらいやだなぁ」
「えっ!?」
突然物騒なことを口にするものだから思わず驚いて顔を上げていた。
「ど、どうしたの…何かあった?伊吹」
「うん、本を読んでたんだけどね。この話がループ物っていうのかな?大切な子のために時間を戻して、最良の未来を目指すっていうものなんだけど…読みながら、僕だったら目の前でユウキが死んじゃったら世界、滅ぼしちゃうだろうなって」
「さらっと怖いよ!?」
「だってそれくらい僕にとって君は特別だから」
「……」
思わず黙ってしまう私を見て楽しそうに伊吹は笑った。
「い、伊吹…」
こほん、と咳払いをすると伝えたいことを伝える為に伊吹の両手を握る。
「…もし、もしだよ?そういう危ない目にあったとしても…きっと、伊吹が助けてくれるでしょう?」
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