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    Lionsomps

    ラウヴァアアアアアアアン!
    14の二次小説とか>http://studiosxr.web.fc2.com/index.html
    おえかき練習中

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    Lionsomps

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    支部でがんばって、本当に頑張ってw小説上げてたんですが、色々あって全消ししたので
    HP以外にも書き散らした作品が何本かあったんですよね
    後でサルベージ出来た物の一つ






    蒼天後のシーズナル星芒祭での一幕

    夢かうつつか


    「興奮しちゃって寝かしつけるのが大変でしたよ」

    しばらくは部屋の外からきゃあきゃあとはしゃぐ子供達の声が聞こえたが、部屋の明かりでも消されて無理やりベットに押し込まれたのだろう。
    薄暗い廊下にしんとした静けさが漂っている

    「今日はありがとうございました。あんなに子供に囲まれて貴方も疲れたでしょう?」
    そう言って彼はテーブルの上のボトルを手に取り、空になった私の杯にワインを注いでくれた

    医師ダミエリオーから是非子供達へなにか話を聞かせてやって欲しいと頼まれ、夕食が終わって消灯までの退屈な時間に合わせて私は小児病棟へやってきた。

    そして部屋に集められた子供達の前で期待に満ちた視線にやや緊張しつつ何を話そうかと考えている所に一人の子ががイシュガルドはどんな国なのかと私に尋ねてきた。
    最近起こったあの国の様々な事件や新しい国政の始まりはきっと子供でさえ知るほどの大きな変革だ。今まで閉ざされた国の事を知りたがるのは当然だろう。

    それならと、あの城砦のごとく堅固で華麗な石作りの建築物が聳える町の様子や、雪に覆われた広大なクルザス西部。
    そこを抜けた先にあるアバラシア山脈と大きな七天樹の森に囲まれて暮らすテイルフェザーの狩人や野生のチョコボの話。
    同じ地域にはグナース族という虫のような見た目の蛮族がいてそこから稀に「分かたれた者」が生まれる不思議な生態系の話。
    そんな気ままに生きる彼らの集落やそんな中で非力で無気力な一人の若者がいて、いかにして様々な種族が集う冒険者ギルドを作り上げたのか。そしてその種族の名物酒グナースの果実酒がいかにして造られたのか・・・
    他にも空に浮かぶ大陸に暮らす鳥のようなバヌバヌ族と戦争でさえ踊りで争う独自の文化。
    そしていにしえの人と竜が手を取り合って生きてい痕跡の中で、ただ中立を守り穏やかに生きる種族が暮らすドラヴァニアの美しい白亜の塔、彼らに寄り添い共に暮らすモーグリと、おとぎ話と信じられていたが実在していたモーグリ族の王様。
    彼らと共に昔の建物を修理するために竜の背に乗って駆け回った話。

    獣人排斥の風潮で彼らには縁も薄く、さらに知らぬ土地の見たことがない蛮族の生活の話を子供達は興味深げに喜んで聞いてくれたがそんな中ある子供がこう尋ねてきた

    「冒険者さんが竜の戦争に勝ったからイシュガルドは平和になったんだよね?!邪竜ってどんなヤツだったの?強かったの?」

    イシュガルドの話をすればきっと聞かれるとは思ったがどう話せばいいのか迷った。あの出来事を短く語れるほど昔の話ではないのだ。少し考えて子供達にこう話した。

    「・・・人への憎しみは何もかもを焼き尽くすほど激しく、それはもう強かったよ。
    だがそんな人間を信じてくれた竜がいてね。力を貸してくれたんだ。だから倒すことが出来た。そして邪竜は母なるエーテルの海へ輝きながら還っていったんだよ」


    子供らにしてみたらおそらく悪い怪物をやっつける胸がすく英雄譚を聞きたがったのだろう。しかし千年の物語を私は御伽噺のように彼らに語るにはあまりにも色々ありすぎてこう言うのがやっとだった。

    「さあ、そろそろ消灯時間だね。今日はこのへんで終わろうか」

    言い淀んだ私をダミエリオーは察したのか子供達はもうすこしいいじゃないと不満の声を上げる中お話会はそこでお開きとなった




    「前に言いましたが、私も子供の頃に入院していた事があったのですよ。
    皆建物から出られず決まりに縛られ退屈を持て余す子供達を知っています。
    だから皆の気持ちがよくわかるんでが今は医師ですからどれほど煙たがられようとも時間になればベットに放り投げねばならないのです」

    今日はそうとう手こずったのだろう。先ほども子供達のはしゃぐ嬌声に混じって一生懸命なだめようとする声が聞こえていた。
    苦笑しながら彼は向かいの席に座り、もう一つ用意された杯にワインを注いだ。
    是非泊まっていってくれと言われて遠慮なくそうしたがこれが終わったらクイックサンドの宿にでも行って酒を飲んでそのまま宿にでもと思っていたので、ここで晩酌相手つきのベッドを借りられるなら断る理由も無い。

    「イシュガルドのお話は面白かったですね。私もあの国にはとても興味があるんですよ。異端者とその竜化の因果の話もね、耳にしました」

    そんな話を子供の前で聞くのは憚られる。結局彼もまた話がしたかったのだろう。
    竜化するには12騎士の末裔である血筋であるという条件があれど、閉ざされた国とはいえ流出した人口がきっといる。
    たとえば平民の私のような者に過去の先祖達がどこの出身だなどとは解るはずもなく、もしかしたら因子を持っていても不思議ではない。医者として手に入れたい知識なのだろうか

    「『ドラゴンになった少年』というお話はご存知ですか?有名なイシュガルドの童話です…ええ、今こうして真実が明らかになればあの話がただの作り話というわけでもなかったのがよく解りますよね」

    この物語の初版はどこかで読んだのだが、それを見るまでもなく大抵の人は察しただろう

    「私はかつて、一度眠ると長い間目を覚まさないという奇病を患ったことがあるんです。その眠りの中で私はこの童話の夢をよく見ていたらしくて。らしいというのは、それはやはり「夢」だからさほど鮮明には覚えていないんです。そしてある人物がこの病気を治すために働いてくれたらしいのですが、その「誰か」も思い出せないのです。まるで逆光の風景の中にその影しか見えない…様々な人々が口にするカルテノーの英雄達の様に」

    英雄、の言葉にどこか思いの篭ったものを感じた。私も成り行きでいつの間にかその名を冠されその「光の戦士」になぞらえられる事は多い。


    「実は、童話の中の少年のように悪漢に襲われ誘拐されそうになったことがあるんです。そのときにドラゴンと遭遇して襲われてしまい谷底に落ちてしまって…動けなくなった私をその人は助けてくれたんですよ。
    けれども、その顔も声もまったく思い出せず、すべてが夢のようで」

    大して飲めはしないのだろう。なかなか中身の減らない杯の脚へ持て余すように指をかけている。

    「童話の話、私が誘拐され竜に襲われた事。そして夢の中で助けに来たのは竜ではなく『あの人』だった。何処からが夢で何処までが現実なのか…」

    エレゼン族の中では童顔でそばかすだらけの少年のような面差しの彼が問いかけるように私を見ているが、きっとそのかつての英雄の影を私に重ねようとしているのではないかと気がついた。
    彼ら、かつての光の戦士達はルイゾワの移転魔法の光で塗りつぶされているのは知っている。とはいえ彼に私はそうではないなどと言おうにも説明のしようもないし、彼の夢の中の空白を埋める事も出来はしない。
    せめての慰めに、今貴方がそうして立派な医師となったことをその「英雄」は喜んでいることでしょうと言うと、どう受け取ったのかは解らないがすこし微笑んでありがとう。と答えた。
    彼らかつての光の戦士の話も今その再来と言われている自分にしてもやがて時が過ぎれば記憶の彼方に掠れてきっと童話の様に形を変えていくのだろう。
    その後ウルダハの最近の裏話や色々な噂話を聞きながら夜は更けて、結局出されたワインをほぼ一人で飲んでしまっていた。


    そして次の朝に、なぜかテンション高く踊りながら鼻歌を歌うアイメリク卿の夢を見て私はがばりと飛び起きた
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