ヒーローなんてクソ喰らえ無性に腹が立ったんだ
許されないことをした自覚はある。
だからこそ、なんてことないように受け入れるその言葉に、態度に
どいつもこいつも自己犠牲だなんだと
姉ちゃんも、お前も
ヒーローなんてクソ喰らえだ
「シンタローは今日も来ないのか」
「ええ…なんか具合悪いみたいで……私にすら顔を見せてくれなくって」
「シンタロー病気なの…?」
「心配っすねえ」
「エネはシンタローのところか?」
「多分…」
シンタロー君がアジトに来なくなった
誰もその心当たりは無いらしい
「まあ妹だからこそ言いにくいこともあるだろう。セトかカノ、様子を見に行ってやったらどうだ?いいか?キサラギ」
「はい、私からもお願いします」
「了解っす!」
「……団長の仰せのままに。」
面倒だな、という言葉を飲み込み僕はいつもの笑顔を貼り付けた
ピンポーン
「……う~ん寝てるんすかねえ」
「さぁ……?そうなんじゃない」
「なんかカノ乗り気じゃないっすね。シンタローさんのこと心配じゃないんすか?」
「別に……。てか僕があいつのこと苦手なのわかってるんでしょ」
「まぁ……、それはシンタローさんも同じだと思うっすけどねえ」
インターホンを鳴らしても静まり返る家の中。トントンを扉を叩いてみても案の定反応は無い
「メールも未読だし……、キサラギさんから預かった鍵、使うっすか」
「ほんとに入るの……?ひとん家に勝手にはいるの気が引けるんだけど」
「なーに言ってんすか!他でもない家主からの依頼っすよ!これも俺らの任務っす!」
「はぁ……」
こういう時にこいつは面倒くさい。変に純粋で真っ直ぐで。嫌気がさす
ガチャっ
預かった鍵を回せば小気味のいい音とともにドアが開かれる
「おじゃましま~す……」
別に悪いことをしている訳ではないのだが、他人の家に勝手にあがるのはやはり気が引ける。
あまり音を立てないよう教えられた2階の部屋へと向かう
コンコン
応答はない。