ホテルパロのドラロナ「あ、いたいた。ロナルドさーん!」
「あれ、どうかしましたか?」
バックヤードの休憩室に向かう途中で名を呼ばれ、声がした方を振り向けば、同僚の男が片手を振りながらこちらに近付いてくる。男はロナルドのすぐ目の前で足を止め、呼吸を整えるように深く息を吐き出した。
「あー良かった、すぐに見つかって。支配人が呼んでますよ。なるべく早く支配人室まで来るように、とのことで」
「げ、どらこ、んんっ! ドラルク支配人、が?」
いつもの呼び名を口に出しかけ、慌てて言い換える。今のロナルドはホテルマンの一人でしかなく、対してドラルクは支配人というホテルで一番上の立場だ。実際の関係がどうであれ、少なくとも仕事中は立場を明確にしておかなければならない。
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