レオマレ 無題時折、彼は呆然とした目をしてどこか遠い場所を見詰めている。
「キングスカラー」
誰にも見えない頭の中だけで独り、思考を巡らせている時の顔だ。幾人も出会ってきた人々たちの中にも同じ顔をする者らがいた。彼らは皆頭が切れ、それ故に人と歩調を合わせることさえ苦にするような者達だった。
「お前は何故この学校へ来ようと思ったんだ」
「……、……あ?」
思考の飛躍は止まり、サマーグリーンは真っ直ぐに僕だけに絡め取られる。
「……ンな話だったかよ」
「おや?……ふふ、聞いてもいなかったというのに分かるのだな?」
「……チッ」
「聞こえたなら答えてくれ。今は僕が問いかけているんだ」
例え絡め取られても、彼がその胸の扉を全て開くことは有り得ない。僅かに軋み薄く開いて見えたその景色だけが僕の知り得る彼なのだ。
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