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    ちえさん

    筋肉大好きな20↑です。
    常に筋肉吸いたいです。
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    ついすてととうらぶを置いていきたい所存です。

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    ちえさん

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    マレ監を見守る従者たち。
    ※バレンタイン夢ではありませんがチョコレートを楽しく食べているお話。
    設定等は捏造。

    #マレ監 #ツイステプラス

    #ツイステプラス#マレ監

    監督生が突然発熱して寝込んだことは、もちろんその恋人であるマレウスの耳に入っていた。慣れないながらに看病をし、つきっきりで彼女の面倒をみてやるその姿にセベクはしきりに感動し、涙を流していた。
    その一方で、若様の手を煩わせるなど…と拳を震わせていたが。

    症状は、熱だけ。咳や鼻水といった、風邪の症状は全く無い。胃がムカムカするが、食欲が落ちている訳でもないところから消化器官系の症状でも無いと判断して、しばらく考え込んだ後リリアが監督生とマレウスに、こう言った。

    ―これは、魔力酔いじゃな、と。





    とある休日の昼下がり。ディアソムニア寮で、マレウスと監督生のお茶会について議論が行われていた。

    『若様がお強いとは言え、我々は護衛を仰せつかっています。茶会の時も護衛をさせていただかなくては。』

    リリアに必死に訴えるセベクの隣で、シルバーは欠伸を噛み殺していた。昼下がりは酷く怠く眠たい。

    議論の渦中であるマレウスは、嬉々として今日も監督生とのお茶会に出掛けていった。
    彼女とのお茶会は彼が率いるディアソムニア寮生公認で、今日の夜は月が見えるなー、と呑気な寮生に言われる始末である。


    『お主らが、マレウスのデレデレした顔を見て我慢できるなら良いぞ。あやつ、監督生の前だと、だらしない顔になるからのう。』

    オンラインゲームに勤しみながらリリアは答えるが、セベクはそれにくってかかった。

    『若様に限ってデレデレなどするはずありません…!』

    『シルバーが良く知っておる。
    のう、シルバー。マレウスはデレデレした顔になるじゃろ?』

    『デレデレ…』

    監督生と一緒に居るときのマレウスの顔を思い出して、眠さにぼんやりする頭でリリアの質問の答えを考える。

    『穏やか…だと思います。』

    『な?デレデレしとるとシルバーも言っておる。』

    『シルバー貴様!』

    セベクが掴みかからん勢いで怒鳴ってきたので、シルバーは顔をしかめた。マレウスの一喝で黙らせてくれないかと思わざるを得ない。
    とにかく護衛だ!と言って聞かないので、眠くて仕方がないがシルバーはセベクと共に、お茶会の開催されているオンボロ寮へと向かった。



    『こんな薄い結界しか張られていないのか…?』

    2人の着席するテーブルを遠くから見て、セベクは呟く。シルバーの眠気はだんだんと覚めてきて、セベクと同じように遠巻きに2人を見た。

    マレウスの話に耳を傾け、監督生は頷いたり笑ったり。反対に、彼女の話にもマレウスが耳を傾け、時折笑顔を見せていた。

    『デレデレなどしていないじゃないか、シルバー。』

    『俺は最初から、デレデレしているなど言っていないだろう。』

    バレないように小声で言い合いをするが、ふと視線を感じて口をつぐむ。マレウスの緑色の瞳が、こちらを捕らえていた。

    『…何をしている。』

    シュン、と音を立てて目の前に現れたマレウスに、セベクとシルバーは慌てて立ち上がり、ビシッと背筋を伸ばして向き合った。
    緑色の瞳は、お茶会を邪魔されたことへの苛立ちに満ちている。


    『若様、我々は護衛に参りました。何度も申し上げておりますが、我々の護衛無しにお一人で出歩かれるのは危険です。』

    セベクを射るような瞳で見て、マレウスはため息をつく。

    『僕も何度も言っているだろう。
    一人じゃなにも出来ない赤子じゃない。好きにさせろ。』

    マレウスの言葉に、セベクはぐぬぬ、と唇をむすんだ。

    『護衛お疲れ様。お茶飲んでく?
    シルバー先輩も良かったら。』

    マレウスの後ろからひょっこり顔を覗かせて、監督生は2人に尋ねた。その姿は警戒心の欠片も無い、お人好しと呼ばれる姿そのもの。

    『無礼者、貴様ごとき人間のいれた茶など飲めるか。』

    セベクが言うと、監督生はムッと顔をしかめてセベクを睨む。

    『君の嗜好なんて知らないよ。
    美味しいお茶は誰がいれても美味しいの。いいよ、君にはあげない。』

    ふん、と踵を返して歩き去る監督生。
    言い返されるとは思わなかったので、セベクは少し狼狽える。彼女はこの学園で過ごすうちに、しっかりと自分の意見を述べることを学んだらしい。

    『…お前たちは帰れ。
    セベク、今後、彼女に先程のような口のきき方をしたら、どうなるか分かるな。』

    『若様、なぜそこまで気にかけるのですか、たかが人間に。』

    額に汗を微かに滲ませて、セベクは一瞬口ごもった。それでも、やはり魔法の使えない監督生は尊敬するマレウスの隣には相応しくない、という考えは簡単には変えられず、顔を強張らせながらも彼はマレウスに尋ねた。


    『たかが人間、と彼女を見下すお前には分かるまい。とにかく、護衛は必要ない。帰れ。』

    先を歩く監督生を追ってテーブルへ戻るマレウスの後ろ姿を見送ることしか出来ず、セベクは拳を握り締める。
    耳をすますと、マレウスがセベクの態度について彼女に謝罪をしている声が聞こえた。

    『…セベク、お前の態度について、マレウス様が謝っているぞ。マレウス様に、こんなことをさせてはいけないだろう。』

    『そうだな、僕が謝らなくては。』

    セベクにもその声は聞こえていたらしく、素直にすぐにテーブルへ向かって歩き始めるセベク。シルバーもその後を追いかけた。

    『お前たちは帰れと言ったろう。』

    マレウスがうんざりしたように言うと、セベクは一度マレウスに頭を下げてから、今度は監督生に頭を下げた。

    『申し訳ない。』

    『え?私?』

    まさか頭を下げられるとは思いもしなかった彼女が、食べようとチョコレートの包み紙を開けていた手を止める。

    『先ほどの無礼な態度…許して欲しい。』

    『無礼な態度っていう自覚あるんだ?』

    監督生がじっとセベクを見つめて、セベクは居心地が悪そうに視線をさ迷わせた。

    『自分の態度や立ち居振舞いが、若様の評価に繋がる。それを見失っていた。』

    『そうだね、君の主人は護衛の躾も満足に出来ないのかと思われちゃうね。』

    『…返す言葉もない。』

    セベクと監督生の対話を、マレウスは静かに見守っている。

    『人間人間ってすぐに見下さない方がいいよ。
    生きてる人間って、死人より恐いんだから。』

    そう言うと、チョコレートの包み紙を開ける作業を再開する。ふいに立ち上がると、セベクに歩み寄って、その口のなかにチョコレートをぽん、と放り込んだ。

    『!?』

    『ね、美味しいものは美味しいの。』

    驚きを隠せないセベクに笑うと着席し、再びもうひとつのチョコレートの包み紙を開け始めた。

    『今のは何だ。僕にもやれ。』

    マレウスが気に入らない、とでも言いたげにムスッと腕を組んで文句を言う。セベクは口の中を満たすほろ苦い甘さに、言葉が出ずにいる。

    『だめ。次はシルバー先輩。』

    あっさりと断って、監督生はチョコレートの包み紙を開けた。

    『い、いや俺は…ん、』

    断ろうとしたシルバーの口にもチョコレートを放り込み、監督生は満足げに微笑んで再び着席した。

    『はい。次はツノ太郎の番ね。』

    『この僕を後回しにするとは。
    雷が落ちるぞ。』

    『あーまた!』

    すいっ、と指を動かすと、監督生の身体はマレウスの膝の上に。恥ずかしいからやめて!と文句を言う彼女をガッシリと抱き抱えたまま、離そうとしないマレウス。

    『いいから早く、食べさせろ。』

    『わかったよ…』

    チョコレートを口を開けて待っているマレウスの口にぽいっと入れると、マレウスは監督生の手を握り、その指をペロペロとなめ始めた。

    『ちょっと…』

    『…魔力が滞っているな。』

    『またそうやって、あ、ん、ちゅうっ…』

    抵抗する監督生に、言い訳するように理由をつけてマレウスは彼女に深く口付ける。
    魔力酔いの解消方法は、魔力の強い者に吸い取ってもらうこと。方法は口づけでなくても良いのだが、嬉々としてマレウスはこの方法を取っている。

    『どうした?魔力酔いに悩まされるのは嫌だと言っていただろう?』

    『っふ、ぅんん!』

    『…それから、僕をセベクとシルバーの後回しにした罰だ。』

    『だって2人はあなたに振り回されていつも大変で、んん!』


    時折、唇を離して面白がるように言うマレウスに、抵抗空しく監督生はされるがままになっている。
    マレウスの大きな身体にしっかりと抱え込まれて、せめてもの抵抗で足をバタつかせてはみるものの、無駄な抵抗に終わっていた。

    『…今後、2人より僕を優先するんだな。』

    『2人の方が大変な思いして、ぁ、ん…』

    『それが仕事なんだ。』

    『んんっ、ん…』

    やがて抵抗するのも諦めて、監督生はマレウスの頬に手を添えた。嬉しそうにマレウスは、更にしっかりと監督生の身体を抱き込む。

    『………』
    『………』


    シルバーとセベクは、気まずそうに顔を見合わせた。そして、ようやくリリアの言葉を理解した。確かに、デレデレのドロドロである。
    そして、自分の主人のデレデレでドロドロな姿は、あまり見たくない。もっと言えば、こんなデレデレでドロドロな主人を見守ることは仕事ではないはずだ。かなり目に毒である。

    静かに後ろを向きテーブルから少しずつ距離をとって、とりあえず今日はシルバーとセベクは護衛にあたることにしたが、今後一切、お茶会の護衛にはつかないことにした。

    ディアソムニア寮生が言ったとおり、その日の夜は空が晴れ、大きな月と満天の星が寮を照らしていた。
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