優しくしてね『優しくしろよ、…………痛くされたら殺しちまうし』
ドラルクは、いじらしさと物騒の間で顔を赤く染めたロナルドの初々しい姿を思い出す。互いに経験が無かったころは何もかもが手探りで、ロナルドの一挙手一投足を気に掛けてやまなかった。今では、どこをどう触れば耳朶が赤くなり瞳が潤むかくらいは手に取るようにわかる。
己の手でしどしどになったロナルドは愛しく、今夜も食べごろだった。
「んぁっ…………ん、は、手羽先」
ロナルドは、冷たさと口蓋へもどかしさを残していった唇が微かな蜜音を立てて離れると、開口一番そう告げた。
小さな声は、ドラルクに何か訴えるというよりもただこぼれ落ちた言葉で、動きの止まったドラルクに反してほわほわと目を瞬かせる。
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