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    tarutotatan082

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    tarutotatan082

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    優しくしてね、っていうドラロナ
    ふんわり性描写あり

    浮き出た頚椎を歩くロナルド君を書きたかった

    #ドラロナ
    drarona

    優しくしてね『優しくしろよ、…………痛くされたら殺しちまうし』

     ドラルクは、いじらしさと物騒の間で顔を赤く染めたロナルドの初々しい姿を思い出す。互いに経験が無かったころは何もかもが手探りで、ロナルドの一挙手一投足を気に掛けてやまなかった。今では、どこをどう触れば耳朶が赤くなり瞳が潤むかくらいは手に取るようにわかる。

     己の手でしどしどになったロナルドは愛しく、今夜も食べごろだった。

    「んぁっ…………ん、は、手羽先」

     ロナルドは、冷たさと口蓋へもどかしさを残していった唇が微かな蜜音を立てて離れると、開口一番そう告げた。

     小さな声は、ドラルクに何か訴えるというよりもただこぼれ落ちた言葉で、動きの止まったドラルクに反してほわほわと目を瞬かせる。

     健康的な肌に赤色を添え、常より垂れている瞳がさらに甘やかに色付く姿はドラルクの心を掴んで離さない。かつての照れゆえの虐殺から、鼻呼吸をマスターしたロナルドの成長にドラルクは感慨深くすらなった。

    しかしその感情よりも、ロナルドが口走った脈絡のない言葉にドラルクは内心首を傾ける。気の遠くなりかけるのを意地で堪え、跳ねる銀の先を撫でた。

    「食べたいの?」
    「いや、そういうわけじゃない………腹は空いてるけど」

     ロナルドは口蓋をくすぐられながら、ドラルクの細い躰を思った。何かに縋っていたくてやわく握ったドラルクの手首の骨の間。貧相な肉はさぞ食べ応えがないだろう。前歯で食んで折れる音すら想像できる。

    人体………鬼体?がこの浮き出た骨と皮で生命活動を維持できているのが心底不思議だった。
     軟弱な体が幾度も死に生きるのも、柔らかさの反対にいる吸血鬼に体を委ねることへ心地よさを覚えてしまうことも。

    「あぁ、今日は少なめだもんね………って違うだろバカ?!それにしてもムードがあるでしょ!?」

    食の細いドラルクから見て際限なく食べるように思えるロナルドでも、今夜ばかりは控えめだった。ジョンがいないことを差し引いても量の少ない夜食をドラルクが机に並べ、ロナルドが早々に箸を置いたときから密事は始まっている。

    高等吸血鬼が無報酬で作った素晴らしい食事を前に常の勢いを殺し、上目で窺う合間に口を動かしていた風のロナルドは吸血鬼の目に愛らしく映った。収まりが悪いのか落ち着きなく尻を動かしていたのも高得点だ。

     食い意地の張った成人男性(五歳児)がその行動をとったのは、腹の圧迫感を減らすためだ。ボトム側は受け入れる場所が場所だけに色々と作業が必要である。まぁ、つまり。恋人同士のドラルクとロナルドがジョン不在の中行うことのためだった。


    暗黙の了解を交わし、牛の絵が描かれた石鹸のまろやか匂いをまとったロナルドと、まるい爪のドラルクは予備室で落ち合った。

    「これだからおこちゃまは、はぁ」

     わざとらしく溜息を吐いたドラルクは、逆手で頼りなくシーツを掴んでいたロナルドの手を引きはがし、甲に唇を落とした。臆面のないドラルクの気障な行為に、ロナルドの唇は幼子のごとくとがる。

     包装を解く音がすると、ロナルドは緊張に青い瞳を隠した。朝日を拝みたいのか、と疑うほどの丁寧さで拡げられた後腔は潤沢な液で満たされていて、ロナルドの据わりを悪くする。半端に冷静なせいで、疼きに耐えられず腰を揺すってしまいそうなのが嫌だった。

    下半身にひたと触れる存在を感じ、薄目を開ける。何度この時を迎えても、いつまでたっても慣れぬ冷たい感触にロナルドは束のある睫毛をぱさと震わせる。雫をつけた銀が瞼に触れると、この時だけは臆病になる己をロナルドは自覚するのだった。不意でも強引に進められたわけでもないというのに、溶けて死ぬような予感がする。
     あつい、きついと文句を垂れ流す貧弱吸血鬼は物理的に死にそうだが、人間のロナルドは心持ちが。
     隘路を拓かれる異物感か、頭を焦がす興奮故か。血液が音を立てて引いていく感覚にロナルドは襲われる。ぬくもりのない吸血鬼のソレは、ドラルクと出会わなければついぞ知り得なかったであろう、ロナルドの敏感な襞をゆっくりと這う。違う温度の重たい質量は隔てりが分かりやすい。ドラルクの執拗な優しさは粘膜をいじめているのも同然で、ロナルドをいつも追い詰める。

     幾度も瞳と唇を合わせすべてをゆっくりと納める行為に痛みはない。けれど違う構造の生物が同じ温度になることはなく、沸騰した頭と冷えた心のちぐはぐさにロナルドは苦しめられる。

     もし、同じ温度を手に入れたらという妄言も浮かぶくらいに。

    「………キッツい。ロナルドくん、大丈夫?」
    「……………………ふっ、ぅ…………ぁ」

     違和感を紛らせるが如くつらつらと考えていたロナルドは、無駄に細長い先端が自身でも理解していないところに当たり、ひとつ嬌声を漏らした。虚弱な吸血鬼の方が堪えているものが多いだろうに、された気遣いに面映ゆくなる。ドラルクの腹が半ば痙攣しているのを見ると、昂ぶりは抑えられなくなった。

     ドラルクは、短い息を懸命に吐きながらも歓迎するように吸い付いてくるロナルドを思った。肌をドラルクにだけ晒すときのロナルドは、騒がしい日常の姿とずいぶん違う。憎まれ口を叩くどころか、制御を失った唇は舌っ足らずに甘く強請る。

    「ドラこ………」
    「なに?辛い?」

     ドラルクが汗で張り付く銀の前髪を横にどかし、しろい額をあらわにすると、ロナルドは微かに首を横に振った。漏れ出る声を懸命に抑えながら、ドラルクに聞き覚えのないひどく頼りない声でぐずる。

    「はやく、きもちよくしろ」

     死なない程度に踵で背を押されると、ドラルクは間抜けにも口を半開きにしたまま動きをとめた。そのうちにふふふと笑い声を零す。人相の悪い左右非対称の眉をピクリと動かしながら、吸血鬼らしい牙を覗かせる。

     舌舐りをするドラルクに対し、行儀が悪いとたしなめたのはお前だろ、とロナルドは詰めたくなった。だけれど、顔を歪めるドラルクを見ていると心がふっと軽くなった。他の姿を取れるとしても今はこの姿で、同じ骨で同じ言語で。同じ熱を共有している。じゃあ、まぁ、いいか、と。

    ロナルドは手持ち無沙汰になり、ドラルクの細い首に腕を回した。体重を掛けては死んでしまうので添えるだけに留めて。銃を巧みに操る指の腹でドラルクの並んだ頸椎の丘を越えたり降りたりしていると、吸血鬼の瞳が一層赤くなるのを見た。


     ドラルクは、すやすやと寝息をたてるロナルドの純が好きだ。体力を使い果たしたロナルドは胎児のように丸まり、無防備に首筋を晒している。

     安心しきった表情は、成人男性に正気かと以前の自分に頬を叩かれそうだけれどとても可愛らしい。ほんの半針前まで青年の美しい皮膚が艶めかしく輝いていた事が信じられないくらいに。

     無垢も達観も自己犠牲も幼稚さも、多様な面を持ち得るロナルドはいつ、どこをどう見ても面白い。睫毛の瞬きから零れる唇の緩みまで魅了される。

     ジョンやメビヤツを撫でるときのゆり下がった眉も、ドラルクと指の合間を触れさせている時の垂れた瞼も、蒸気した頬も。
     微かな動作さえ、ドラルクの心臓を動かすには充分すぎた。目まぐるしく過ぎる日常に、せわしなく血液が巡る。省エネの体を変えたロナルドには責任を取って欲しいとすらドラルクは思う。

     自らの一割しか生きていない若造に心を乱されるこの有様では、いつかロナルドを失った時、体の一部を持っていかれるのも同然だった。
     もってけドロボー。その代わり、優しく優しくしてもらわねば困る。捧げた心臓は、大雑把に分類すれば丸の枠に収まるから大丈夫だろうか。
     ドラルクはジョンを胸に抱くように心臓を扱うロナルドを想像し、あまりのくだらなさに静かに口から息を漏らした。

     微かな物事をも逃さないはずの吸血鬼退治人は、ドラルクに自由に髪を撫でさせながら胸を上下させている。

     
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    tarutotatan082

    DONE明朗と命を絶とうとする江澄と?な曦臣の監禁曦澄になるはずのもの嘉日


    今日は本当にいい日だ。

    江澄は戴冠式を終え、立派な宗主然としている金凌を見て小さく息を漏らした。小生意気な甥の落ち着いた言動への感動も成長の早さへの嘆きも含まれたものだった。江澄は大きく息を吸っていると、金凌がこちらに向かってくる。
    「江宗主、今日はお越しいただきましてありがとうございました」
    金凌が丁寧に拱手をする。周りの目がある時は血縁であると忘れろ、と何度言っても叔父上、叔父上ときゃんきゃん吠えていた姿が嘘のようだった。それでも、よく出来たでしょ、と言わんばかりに緩む金凌の口元を認めて江澄は薄く笑った。
    「この度は戴冠おめでとうございます。江家は金宗主を力の限りお支えします」
    江澄は久方ぶりに眉の皺が解ける感覚を得ながら屈託なく笑みを返す。金凌は江澄の聖母のように盛り上がった頬肉を見てわずかに目を瞬かせた後、満面の笑みを返す。見慣れない江澄の表情に金凌の隣に控えていた家僕が目を見張った。
      金凌は確かによく頑張ったと思う。金光瑤の一件を経て、財と力のある金家を引きずり落とす理由を漸く見つけた他家の横槍は酷いものだった。助言すら許さなかった金光善の時代を思えば 7443

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