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    zzzenra

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    GW:T webオンリー「あの夜から、」開催記念。

    特別な日である今日に、渋谷という街と彼らについて考えながら書いたエッセイ風のなにかです。
    夜に渋谷のカフェを転々としながら書きました。こういう体験もいいですね。

    渋谷の街のヒーローになるには、2023年8月22日火曜日、東京・渋谷は夜の8時。

    昼間は曇り時々豪雨で、陽は出ていないが過度な湿気にうんざりする変わらぬ夏日だった。
    ところが今、久々に涼やかな風が人混みを吹き抜けている。気温を見てみれば27℃。一日中曇りだったからか、熱帯夜は避けられたようだ。時折小雨にもならない雨が数滴落ちては止む。
    駅前の喧騒が少し遠く、程よい高さからスクランブル交差点を見下ろせるこのビルの屋上は、渋谷の夏らしからぬ心地よさに包まれている。

    渋谷はその名の通り、谷の街である。
    四方八方を台地に囲まれ(周りの町名が青山、代官山、桜丘、南平台……で察してほしい)、暗渠化された2本の川が流れ込んでいるので、相当なレベルの谷だ。
    ちょうど渋谷駅の場所が谷底にあたり、駅から各種スポットに赴こうとすると、ほぼ必ず坂道を登らなければならない。更に日本有数の繁華街なので、常に多くのヒトとモノが集まっている。
    険しい谷底に無数の人と車とサイネージ、そんな渋谷の夏のつらさは言わずもがなである。

    しかしどうやら2年前の今日、〝彼ら〟は渋谷を駆け抜けたらしい。

    その時の最低気温は25℃。夏なので夜はこのくらいの気温で間違いないだろう。
    今より少し気温が低くて、今くらい湿気が軽いなら、いけるのではないか。
    蒸し暑さを増す人混みも消え、ひんやりとする霧が立ちこめる永遠の夜なら、自分も彼らと同じように渋谷を走り回れるんじゃないだろうか。

    珍しく涼しい風を感じながらそう考えてはみるが、到底無理だ。
    縦横無尽に坂を上り、ビルから飛び降り、妖怪を走って追いかけて、異形と一瞬の攻防を繰り広げる。
    どう考えても無理だ。

    しかもその日は今より涼しいとは言え、彼らは夏の夜を上下長袖のかっこいい服で動き回っている。頻繁に謎の雨も降るから、スマートなラインのあの服は絶対肌に貼り付くはずだ。
    (更に〝彼〟はバイクで病院に向かう際、長袖のジャケットを着ていた。優良ドライバーすぎるだろう)

    なのにどうしてか、彼らは厳しい渋谷の地形にも気候にも一切不満を漏らさず、走り続ける。
    現実の渋谷の夏なら必ず襲いかかってくる苦しさを微塵も感じさせずに、彼らは目の前にあるものを救うためひた走る。
    坂が多いとか谷底で暑いとか、あの日幽霊になってしまったであろう凡人の一人である私がぼやくことなんて、渋谷のヒーローたちには関係がないのだ。



    ところで、真剣に考えて夏にピチピチの長袖であの運動量をこなすには、風と水のエーテルをアレコレして体に冷風を送り込んでるとかじゃないと無理ですよね KKクーラー。

    これを書いたところ:スクカフェ(magnet屋上)、人間関係(スペイン坂)

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