飲み干した独占欲 迂闊だった。力を過信していた。傲っていた。
そう気づいたときにはもう遅い、という展開が小説などではよくある気がする。今まさに…… 自身の置かれた状況がそうであることに、乾いた笑いを心の中で浮かべてしまった。
自室で、サタンから手渡された飲み物を飲んだ。ただそれだけだった。飲み干して、しばらく談笑して…… 気がつくと視界が大きくぐらりと揺れて…… そのまま倒れてしまったのだ。
不思議なことに意識は失わない。サタンは動くことのできない体を大切そうに抱き上げると、そのままベッドへと運んだ。
「君には俺だけでいいだろ?」
仰向けに横たわらせると、サタンは顔を覗き込むようにしてそう言った。そういうサタンの表情は、嬉しそうでもあり、悲しそうでもあり…… しかし目だけは確かに、目の前にいる相手を渇望して仕方がないと語っている。
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