幕間の楓恒⑳ ふわ、と大きな口を開けて息を吐き出しながら丹恒はもそもそと布団から起き上がった。兄である丹楓の姿は既に隣には無く、務めを果たす為に何処かへ行ってしまったようだ。
まだまだ幼龍である丹恒は、今日はこれから何をしようかと首を捻る。
いつもであれば丹楓の後ろをついて歩いたり、丹楓の屋敷で本を読んだりとしているが今部屋にある本は全て読み終わってしまっているし丹楓は部屋にいないので今から追いかけることは難しいだろう。
丹恒が悩む度に尾がゆらゆらと揺れて布団にぺしぺしと当たった。
布団に当たる尾の音に釣られて丹恒は自分の尾へ視線を向けると、丹楓がいつも使っている机が視界に入ってくる。最近の丹楓は少し忙しいのかこの机に向かって疲れた顔をしていることが多い。
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