付き合ってないけど気持ちはあるかもしれない良乱①寒空の下、息を吐き出すと僅かに白く染る時間。
修行中や体を動かしている時は考えもしないことを考えてしまう時間だ。
前まではライバルの乱馬の顔を思い浮かべては憎たらしく思っていたのだが、最近の俺はどこかおかしい。
乱馬を倒す為に修行をして、乱馬に挑み、敗れ、また修行に行く。変なことではないはずだ。
だから乱馬が中国へ行った時、俺も中国に行った。変ではないだろう。
だがそう言うと決まって皆、煮え切らない笑みを浮かべて同意をするのだ。
そこで、俺は気づいた。
もしかしたら、乱馬を中心に動いていることは変なことなのかもしれない。
「...で?」
「ん!?」
乱馬のことを考えながら歩いていたせいか周りをよく見ていなかった。気づいたら、乱馬が塀の上にしゃがみこんでいる。
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