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    おいなりさん

    カスミさん……☺️

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    おいなりさん

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    シンスミ

    顔色一つ変えず、見下ろすその顔に少なからず腹は立っている。
    が、しかし。
    高々と右手に握られたわっかから溢れる蛍光灯の光は、その姿を神々しくさえ見せている。
    だから、つまり、その。
    「どうした?早くしないと溶けてしまうぞ」
    「うるさいっ!……ッス」
    キッと睨みあげると、真一文字だった口の端がにやりと釣り上がる。
    余裕たっぷりのその笑みについ下唇を噛んでしまい、更に目が弧を描くのが見えた。
    あぁ、畜生!
    足を思い切り踏んでやりたいところだが、そんな事をすればあの神々しいわっかが……期間限定、売り切れ続出、苦労してやっと手に入れたドーナツが、無惨にも床に落ちてしまうかもしれない。
    それだけは避けたかった。
    無事にそれを救出する為には、たった一つの条件をクリアすれば、それでいいのだが。
    「あぁ、気付かなかった。もしかして届かないのか?少し屈んでやろう」
    すっ、と近付いて来た白銀の髪に、うっ、と声を詰まらせる。
    「さぁ、口付けを。もう何度もしているし、今更恥ずかしがる事もないだろう?」
    あぁぁぁその笑顔、ほんとにムカつく!
    いつか仕返ししてやろうと決意を新たに、無駄に長い髪の毛を鷲掴み、ぶつけるようにしてシンの唇に自分のそれを押し付けたのだった。

    end.
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