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    おいなりさん

    カスミさん……☺️

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    おいなりさん

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    ソテスミ

    何かを思い付いたような顔をしたソテツの傍には近付くな、と、確か祖父に言われていた気がする。なので、やたら纏わりつくような視線を感じたとしても、それはきっと気のせいだし、そうじゃなかったとしても、絶対関わってはいけない。
    影を伝い歩き、人の背に身を潜め、限りなく気配を消して。そして、そしてーー。
    「はい、残念でした」
    何故、今自分はソテツに壁ドンされてるんだろうか……。絶対に気付かれていない筈だったのに。
    「いくら気配消してようが、何処に行くかくらいは検討が付くだろ、普通」
    なるほど、待ち伏せ、だったのか……。がくりと項垂れて、悔しさに唇を噛む。すると頭上からはそれはそれは愉しくて仕方ないというのような声が降って来た。
    「で、追いかけっこの報酬は?」
    「そんなもの、ないッス」
    「そういう訳にはいかんだろ?散々俺の時間を奪っておいて」
    「何の事ッスか。自分は普通に仕事してただけッスよ」
    「なるほど、ねぇ」
    顔を見なくてもわかる。ソテツの口角は今ニヤリと吊り上がっている、絶対に。背筋にゾワリと嫌な震えが走り、どうにか逃げられそうな道へズリズリと体をずらしてみたものの、直ぐにガツンと股の下辺りで音がして、体を強張らせた。
    「逃げられるとでも?」
    髪の毛に突っ込んだ鼻がスンと音を鳴らし、無駄に雰囲気のある声が頭に直接響いてくる。為す術もないこの状況に、じわじわ上がってくる膝をどうにか両腕を突っ張って堰き止めながら、もうすぐ終わりそうな休憩時間の事だけを考える事に集中した。

    end.
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