マヨ忍ワンライ『手袋』 冬物が並んだショッピングモールで、忍は手袋を手にとっては『むぅん』と悩んでいた。少し尖った口元、ぎゅっと眉間に寄ったシワ、こてんと傾げた丸い頭。
(ハァ、ハァ……。悩んでいる忍きゅんも、とっても愛らしいですぅううう……!)
マヨイはそんな忍の買い物に付き合っている、わけではなく。ストーカーをしている……のでもなくて。そう、これは尾行の練習である。常であれば、ショッピングモールだなんて人の多い場所に訪れることのないマヨイだが、忍の姿を見るためならば話は別だ。人目につかない場所を選びながら、只々忍を眺め続けていた。
いくつかの手袋を手にとっては悩み、手にとっては悩み、を繰り返していた忍だが、やがて色違いの二つを手に取ると、こくりと頷き、小走りでレジへと駆けていった。会計を終えると、手裏剣柄のケースに入ったスマートフォンを取り出し、手早く何かを打ち込んでいく。と、マヨイのポケットに入ったスマートフォンが震える。画面を開くと、先程送ったのであろう、忍からのメッセージが届いていた。
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