お題【バレンタイン】元来"なれつも"が信条の大倶利伽羅にとって今年の二月某日は非常に大きな意味があった。
例年この日と言えば、燭台切光忠をはじめ加州や短刀たちから寄越される"チョコレート"をウンザリしながらしぶしぶ受け取り一ヶ月後には素っ気なく返礼の菓子を渡し、その後数ヶ月かけてやっとの思いで大量過ぎるチョコをただ黙々と消費する、それだけのやっかいな催しだった。
だが今回は違う。密かに想いを抱いてきた相手との恋をついに実らせ付き合うに至った、そう山姥切国広がいる。
この日に彼の方からチョコレートを貰おうなどと浅はかな望みは毛頭なかった。自分から嬉々として贈り物をしてくる性格でないのは端から承知している。ただ、山姥切も大倶利伽羅同様貰ったチョコは無下にせずきちんと返しているのも知っていた。
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