再見する世界「似合わねぇよ」
「そう? 私はけっこう気に入っているけど」
カウンター越しに立つ夏油は、黒いシャツの上から黒のエプロン制服をつけている。からすの濡れ羽色をした髪を腰まで伸ばして、全身が黒につつまれるが、やぼったさは感じない。ガラス張りの壁から差しこむ朝日が、カフェ全体によさげな雰囲気を放つせいだろう。
「うさんくさすぎ。よくそれで面接通ったね。コネ採用?」
「七海の紹介だからね。コネ、になるのかな」
夏油はそういって体をかたむけて、五条の後ろに立つ七海に微笑む。
コネもなにも、急な任務が入ってシフトの穴埋めを頼んだのは七海である。感謝こそすれ、非難する筋合いはない。
「すみません夏油さん。五条さんも、勤務中のスタッフをくどかないでください」
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