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    清(せい)

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    清(せい)

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    ⚠️死ネタ

    好みが分かれるカテゴリなのでご注意を。

    タル鍾だけどしょ先生しか出ません。

    独白のようなもの。

    #タル鍾
    gongzhong

    あれはいつの日のことだったか
    もうずっと前のことのようにも
    つい先日のことのようにも感じる。


    月日が流れるのは早い。

    流れる時間は同じなはずなのに、
    いつだって自分は世界に取り残されるのだと、
    そう感じる。









    喧嘩をした。


    らしくもなく、彼が声を荒らげたのは
    俺が別れを申し込んだからだ。


    何人も友を見送ってきた。
    だからこそ、彼を見送れる気がしなかった。

    お前が旧友になってしまう日が来るのがこわい

    そう伝えると彼は
    驚いたような顔をした後、
    寂しげに、安堵のため息をついた。



    「そう、じゃあ俺にも分けてよ。
    先生ほどじゃないかもしれないけど
    普通の人間よりは長く生きられるようにできるでしょう?」

    「不可能ではないが、いいのか?」

    「もちろん。
    俺だって長く一緒にいられる方がいい」

    そう言ってなんてことないというように笑うタルタリヤに安堵した。


    そして、彼の命に時間を与えるフリをして、
    彼の中にある 自分に関わる全ての記憶を消した。


    世界に置いていかれる苦しみを
    愛しい人にまで味わわせることができなかった。


    あの日初めて、
    泣くのを堪えると 鼻の奥がツンと痛むことを知った。





    その後はあっけなかった。

    元来、身を潜めていなければならないファデュイ執行官という立場の彼は
    俺が連れ回さなければ
    璃月の人々と関わることも少なく
    俺さえ上手く誤魔化せれば
    突然2人が関わりを一切断ったことに怪しむものも居なかった。




    そして それからどのくらいの月日が経ったのか
    彼が亡くなったと、 旅人から伝えられた。
    彼らしく、戦場で血を流して最期を迎えたのだと。








    ザク、ザク、

    雪を踏む度
    子気味良い音が乾いた空気に拡散する。


    彼の墓は
    彼が愛する故郷の最南端の丘の上に作られた。



    常に戦場に身を置き
    激しい喧騒のなかを走り回った彼が
    静かな場所で安らげるようにと。
    人里から離れた所で 彼は眠る。




    彼を覚えている人間は、
    もうこの世界には居ない。




    放っておけば、雪に埋もれるか
    風化してしまって、
    彼が生きた証が無くなってしまう。



    だからこうして、
    彼の墓を綺麗にするため、定期的に足を運んでいる。



    積もった雪を払い、
    花束を添えて手を合わせる。



    紫苑の花。
    小ぶりの弁をつけた花は風に揺れ、
    名の通りの紫色が、真っ白な世界に舞った。



    この花に込められた想いが
    風に乗って彼のもとへ届くように。
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