Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    shin1189

    @shin1189

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 84

    shin1189

    ☆quiet follow

    ジュゲムジュゲ夢vol.3企画 テーマ縛りプチオンリー
    「秋の夜長もユメみていたい」

     無料配布だったもの
    蘆屋道満×男夢主

    #FGO夢
    #蘆屋道満
    ashiyaDoman
    #夢小説
    dreamNovel
    #BL夢
    #BLD

    蘆屋道満×男夢主「是は是は楽師殿」
    「貴方は……法師殿」
     本日の勤めも終わり、帰路へ着こうとして居た矢先。雅楽寮を出て美福門へと進んで居た処で、呼び止められた。声の方を向くと、何とも――見慣れぬ人物が佇んで居た。
    「おや、拙僧を御存じとは。名高き楽師殿に知って頂けて居るとは、光栄に御座いますなァ」
    「貴方の方こそ、高名な陰陽師では御座いませんか」
     顔と名前程度は知っている。が、藤原顕光様方の陰陽師殿が、何故内裏の斯様な片隅に居て、私に声を掛けるのだろうか。
    「拙僧の事は蘆屋道満と、何卒呼び捨てに」
     訝しむ私に気付いて居るのか否か、微笑み続けて居り、巨躯も相まって、官人貴人とは異なる存在感を放っていた。
    「では蘆屋殿、と」
    「皆慌ただしい様子。近々何か行事でも?」
     些かの緊張を感じつつ返事をすると、返って来たのは拍子抜けする様な質問であった。
    「もう直ぐ重陽――菊合せを行いながら歌を詠み合うのです。其の菊合せ用の菊を見繕うのに忙しいのでしょう」
    「ふむ、楽師殿は慌てて居らぬ様子。もう見付けましたかな」
    「いいえ、私は此の通り楽を奏でる身なれば。菊合わせを盛り立てる役割が分相応と云うものです」
     私達雅楽寮の者は、菊合せの最中に演奏するのである。最近は其の練習の追い込みもあり、帰りが遅くなりがちなのだ。
    「いいえ、貴方が盛り立て役等と、其の様な事は、決して」
     蘆屋殿は何処から出したのか、菊を手に――――
    「嗚呼、貴方のぬばたまの髪に一輪挿せば、綺麗なかんばせが更に華やぐ」
     私の冠の下、側頭部に挿した。
    油断して居た。と云うか、蘆屋殿が私の予想外の奇行に動くものだから。
    「、御戯れを。蘆屋殿はそちらの気も御有りで?」
     肩を震わせて反応してしまった事を隠す様に言い返しつつ。どういう訳だか赤くなった顔を袖で覆いながら後ずさる。
     が、其の距離は瞬く間に詰められてしまった。歩幅の差に、私の内心は舌打ちを落とす。
    「ンン、どうですかな」
     遂には顔を隠して居た手首を掴まれ、下ろされる。蘆屋殿の、大きな掌に異常とすら思える腕力――私の手首はもがれるのではなかろうか。
    「併し、貴方は其処等の姫君よりも整った顔立ちをなさっている」
     至近距離で顔を覗き込まれながら、戯れ言を吐かれたと云うのに。
     私の目は、蘆屋殿の底の知れぬ真っ黒な瞳と、弧を描き続ける唇を行ったり来たりしていた。
     更には、其の、怪しくも異様に整った顔がついと動き、
    「――一つ、試してみませんか」
     私の耳に直接、誘惑の文句が注ぎ込まれるに至った。
     ビク、と身体が震えた時――――

     ――――目が覚めた。
    「おや、御早う御座います」
     俺は条件反射の様に勢い良く後退した。と云うのに、今度も捕まってしまった。
    「ンン、何ぞ夢でも見られましたかな」
     妙に愉しそうな声音が降り掛かる。くそ、未だに夢の中に居る様な心地にさせられる。――と云うか。
    「……其の物言いをすると云う事は」
    「ククク、気付きましたか。左様、同じ夢を見られるまじないにて」
     ニタリ、と嗤う道満殿の傍らには、呪符が落ちて居た。
    「無許可で勝手な事をしくさって……! 大体、サーヴァントは夢を見ないはずでしょう。其の前提まで弄って、剰え有りもしない過去を捏造したつもりですかっ」
     夢で相対した存在は、生前の蘆屋道満と云うよりも、むしろ完全に目の前の英霊蘆屋道満だった。生前の道満殿と親交は無かったと口酸っぱく主張している次第なので、厳密な差異は分からないのだが。
     それでも、怪しさしか感じられない微笑みや佇まい、そしてあの巨躯は、混ざりものであるアルターエゴ蘆屋道満に他ならない、と断言出来る。
     嗚呼全く、ハリセンでも手元に在れば、得意気な面に叩き込んでやるものを。
    「有ったかもしれない過去、と捉えた方が綺麗では御座いませぬか。何せ我等は影法師。生前の出来事を事細かに記録或いは記憶して居る訳でも無ければ、生前の存在とは似て非なる其れで在れば。此処に居る我等の過去、としていっそ座に記録しても良いではないですか」
    「良くないでしょうがっ、全く貴方と云う人は、勝手に俺を座に登録するに飽き足らず……」
    「ンッフフフ、貴方が座に登録されたのは蘆屋道満の内より出づる願望も有りますが、抑止力殿が勝手に為さった事。拙僧の所為ばかりにされては困りますなァ」
     全く、こやつは調子の良い事ばかり言って……頭痛を感じて顔をしかめても、悦ばれるばかりである。
    「フフフ……其れにしても、黄色い菊の花言葉は些か良く無いもの。今も昔も貴方には白い其れが似合う」
    「はぁ、貴方が花言葉とか……赤色だとか言わなくて良かったですよ」
     嗚呼もう全く、道満殿には菊の幻影でも見えているのか?
     と、俺は溜息を吐いたと云うのに。
    「おや、拙僧の為に赤い菊を見繕って下さると?」
    「揚げ足を取るのを止めて下さい」
     俺は又盛大な息を溢すのであった。
    「、ちょ、しかも押し倒そうとするの止めろおおおお」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭👏💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works