【クリ想】後夜祭 三人での昼食のあとプレゼントを受け取って、夜を恋人と過ごして、北村想楽が目覚めたのは正午を回った頃だった。
時計を見ずとも、窓の外が賑やかだから昼頃まで寝てしまっていたことは分かっていた。きっと古論クリスは早起きして海に行き、そのまま帰って来てはいないだろうーーそう思っていたから、探ったベッドの隣にクリスの腕を感じた想楽は思わず目を見開いた。
「……クリスさんー?」
「はい」
本を閉じる音がしたかと思えば、寝そべる想楽の視界にクリスの顔が訪れる。
「おはようございます、想楽。よく眠れましたか?」
「うんー……」
クリスの声にも、顔にも眠気はない。緩慢に視線を向けるとクリスの手元では本が開かれており、脇に置かれたメモ帳にも何かが書きつけられていた。読書や書きものに向いた机なら別室にもあるのに、と疑問が湧いてから、すぐに想楽はクリスがベッドで読書をしていたのだと気がついてクリスの腕を取る。
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