いまそかり 忍者は種をかじる。
サモナーが手渡してきたATKの小種を、ためらいがちに奥歯で噛んでいた。
我らが主は、戦闘慣れしていないらしい。
忍者がそう結論付けたのは、今までのアプリバトルを控えメンバーとして散々観察してのことだ。
何度も敵を打ち漏らしては、参謀であるシロウの範囲攻撃で沈めてもらい、何度も不意打ちされては、振り返る余裕もないのか硬直し、アカオニのチャージスラストに助けられている。
リーダーとして、いささか頼りないと言わざるを得ない。
高校生なのだから仕方ないとはいえ、場数に比べて成長の度合が遅い。
今だって、我らがリーダーは直進するばかりで、脇に意識を向けていないのだ。
ああ、ほら、死角から敵が飛び出してきて……
1559