吸血鬼さんと狼男くんのお話 他愛もないお喋り世界樹……なーーんて対象がとんでもないけど、それと同じくらいデッカい木の上からみなさんこんばんは!
「ここから見る景色が、好きなんだ!」
ぼくはルックと一緒にデッカい木に登って(ルックは飛んでったけど)高いところから下を見てるんだ。
「ふーん」
興味が無さそうな声。楽しくないのかなー?
「昼間と違うから別の世界に来たみたいで楽しくない?」
ぼくは楽しい!だって違うんだもん!
「……ふっ」
あ!鼻で笑ったぞ!?
「今バカにしただろ!」
「してないよ」
速攻で返された……いつもなら嫌味が飛んでくるのに……。正直ビックリだ。
「そ、そうなの?ぼくはてっきり……」
「明るい暗いで別の世界ね。君、案外ロマンチストなんだね全く見えないけど」
ほら!!やっぱり嫌味言った!!しかも笑いながら!!
「余計なの付けんな!!」
「ま、夜になると人間とか余計なものがいなくなるから別物に見える、なんてことも無いとは言えないし」
遠くに見える人間の町を見るルック。ぼくも釣られて同じ方を見る。色んな建物があって楽しそうな所だ。いつか行ってみたいなぁ。きっと美味しいご飯がたくさんあるんだろうなぁ!
「なんだよ、ルックも同じじゃん」
ルックもぼくみたいに別の世界に見えてるってことだよねそれ。変な言い方しないでそうだねって言えば良いのに!
「物の見え方なんて命の数だけあるんだし、良いんじゃないの?」
狼男も吸血鬼も人間もそれぞれってことか。うん、ぼくもそう思う。
「君がそんな奴だなんて思った事なかったけど」
「一言多いんだよ!!」
何で余計なこと言うんだよこの鬼吸血鬼!!……ん?
「吸血鬼なのに鬼?いや鬼みたいに怖くてヤバいって事で……」
「……は?急に何言ってんの君。頭大丈夫?」
「む、む、むかつく言い方するなーーーー!!!!」
「君が訳がわからないことを言い出したからだよ」
ごもっとも過ぎて言い返せない……。
「い、今のは別にルックに言った訳じゃないからいいじゃん!」
「ふーん」
急に興味を無くしたのか、ルックは森の方を向いちゃった。ほんと気まぐれな奴だなぁ……。
「で、君はいつまでここでこうしてるの?」
「んー……」
「別世界の風景はもういいんじゃない?僕は別の所に行きたいんだけど」
「ん!明日も見れるし、もういいか!」
「……本当に思い切りがいいなこいつ」
ルックが何か言ってるけど、聞こえないし……別にいっか!
「じゃあ次は……あっちに行こう!」
「ハイハイ」
吸血鬼の少年と狼男の少年の夜の散歩(?)は、まだまだ続くようです……。
終