監督生となった藤丸立花のある日。カラン、と扉の開く音。
お客様が来たと顔を向けようとすると「こんにちは〜」と聞き覚えのある声が耳に入り、ああ彼女が来たのだと笑顔をそちらへ向ける。
「いらっしゃいませ、“リツカ”さ、ん………?」
*
藤丸立花は“元”人類最後のマスターだ。
彼女がここ、ツイステッドワンダーランドに来たのはレイシフトでは無い。ならば事故かと問われるとそういった訳でも無い。
ならば何故?と問われると、それは“立花自身にも分からない”と答えるのが正解だろう。
そもそも、そもそもの話。
ーーー藤丸立花は一度、死んだはずだった。
全てが丸く収まり役目を果たした立花はその先、そこそこの年月を平穏に生きて天寿を全うし、穏やかに息を引き取った……瞬間にはあの棺桶の中。
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