初めて話した夜.
ただ待ってるのも、落ち着かないな…。
とりあえず冷蔵庫を見てみるか。
一晩泊まらせてもらった事には変わりはない。
「ちょっと失礼しますよ、と。」
冷蔵庫を開けると、ドアポケットの上に玉子3つと、奥にベーコンが見える。
必要な物しか入ってないようで、当日入用のものは買って使い切る生活の様だった。
まあ、そりゃそうか。
俺にしても、クラウド達にしても
今は世界の復旧作業にじっとしている暇はない。
全く、セフィロスってやつは
相当なクレイジーだぞ、と俺はため息をついてしまう、、が、気を取り直してキッチンにあるフライパンで玉子とベーコンを焼いていく。
あいつは半熟か好みか完熟が好きか知らないが、まあ、俺様の好みでいいか。
盛り付けをしていた俺は、ヴィンセントが起きてくるかもしれないことなどすっかり忘れていた。
対面する様に食器を並べている時だった。
「朝食を用意してくれたのか、、レノ。」
「んあ!?」
突然後方、頭上の方から声が降ってくる。
驚いて手を滑らせてしまうところをグッと堪えた。
(セーーーー、ッフ!!)
いやいや、そうじゃない。
色々、困る。
まだ昨晩の事情を聞いていない。
確認をするにも心の準備ってもんがあるんだぞ、と。
数秒の間だったと思うが、俺の頭の中はフル回転であーでもない、こーでもないを繰り返している。
そんな俺に、ヴィンセントは驚かせてしまった事をすまなそうに少し頭を下げている。
「や、いいんだぞ、と。
俺も宿を借りた身だし、勝手に色々触っちまって、大丈夫だったか?と。」
「それは、大丈夫だが……」
や、なんだよその間!!
あーもう、聞いちまえ!!!
「ヴィンセント!俺さんは昨日の記憶が曖昧だ。アンタになんかやらかしたりしたのか??
その、言いにくいような事とかしたりしてないか、と。」
しばらくの間。
表情はあまり変わらないが、顎に手を当て
フム、という感じが実にしっくりくる仕草をしながらヴィンセントは話しだした。
「・・・昨日は、レノが寝てしまったから話に付き合わせたのは私の方だったのでな。放っておく事はできなかった。だから私の部屋に連れてきたんだが…」
うん、それは大体わかってる。
俺の気になってるのはその後なんだ…。
「お前達タークスはいつもスーツだから寝るにしても寝苦しいだろうから服を脱がせてもらったんだが…その、、、」
そこまで話してヴィンセントはそっぽを向いてしまう。
!!!?
いやまて。そこで止められると俺なんかした人じゃん‼︎
やっぱり、シたのか?
俺が・・・
「あまりに無防備だったから、つい、すまない。」
ーーーーーーーーー!?
いや、全然どこも痛くないんですけど?
本当に?アンタが俺を抱いた方なの!?
いや、寝てる俺にそんな魅力あるか?
何がすまないんだ?
そもそもこの言い方だと
その話なのかも怪しくなってきた。
「話がよく見えないんだけど、何してくれたんだぞ、と?」
俺が訊ねると、ヴィンセントの頬が少し赤くなったように見える
え、俺本当に食べられちゃったの??
「せ、接吻だけ、してしまった…すまない。」
今度は俺が赤くなる番だった。
なんだその、破壊力。
しかもキスのした、しないでそんなに
思考を埋めてたの??
可愛すぎやしないか??
「いや、いい、ヴィンセント。
俺はもっと大事を想定してたから、安心したぞ、と。
それより俺は思ったよりアンタに惹かれてるぞ、と。また会いにきても?」
俺はウダウダ悩み込むのも、溜め込むのも嫌いな性分だ。
だから好きと思えば
真っ直ぐに伝えたい。
「それは構わないが、私のところに来たって何もないぞ?」
ヴィンセントは豆鉄砲を食らったかのようにキョトンとしている。
「アンタに逢いに行くんだぞ、と。」
この胸に芽吹いたこの想いは
鈍そうなアンタに届くだろうか?
まあ、届くまで伝えるっきゃないか。
-fin-
朝食は2人で美味しく食べました。
ちなみにヴィンセントは起きてきた時の格好は
いつものインナーにラフな黒のタイトジーンズ。
バンダナは巻いてない
でした
また時々この2人書いてみます★