ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第⑭話「決戦」 フィリップ王子と三人の妖精たちが城の前に駆けつけた時、城の人々は既にみな眠りに落ちていたが、ドラゴンと化したマレフィセントはなお咆哮を上げ魔力を解き放ち続けていた。
毒々しい黄緑の霧が城門から吹き出し、爆風の余波に乗って吹き付けてくる。が、王子が美徳の盾を掲げると霧は盾に跳ね返されて消えていった。
フォーナが目に涙をためてつぶやく。
「マレフィセント……。なんてことなの、あんなに魔力を使ったら死んでしまうわ……」
「もう遅いわ……。あれじゃもう元には戻れない……。王子、せめて彼女を止めてあげて下さい」
と、メリーウェザーが言った。
「そんな! もう望みは無いというの!?」
とフォーナが言い返す。
その時、皆の前に飛び出した小さな影があった。
2233