無題浜へ打ち上げられ、打ち寄せる波を被る、重く指一本動かない身体に現実を感じた。
死後の世界……ではないらしい。
「負けはしない」と宣言したのに、それすら私は果たせなかったようだ。
全ての生命力を賭した攻撃だったのを使い切らなかった。
奴も死に至るダメージとはなっていないだろう。
確信はないが、奴が生きていることを感じ取っていた。
これまでだってそうだ。
どこかで奴は生きていると感じていた。
人族として年齢による衰えは避けられない。
勇者の家庭教師も、いつか復活するだろう奴や、同様の脅威に立ち向かえるよう後続を育成するために始めたことだ。
そうだ、理解している。
歴然の力量差に、15年募らせた燃え盛る炎に私は負けてしまった。
1929