やきもち 最初は気付かなかった。いや、気付けなかったという方が正しいのかもしれない。所詮例愛偏差値Fランクだったのだからそういう、恋愛に対しての感はかなり鈍いほうだと思う。自分にも相手に対しても。
いつだったか、これという何かがあった分けじゃないけれど、ふとした拍子に視線を感じた。顔を向けるとかならず黒沢がいて、目線が合うと少し狼狽したかのような罰の悪い表情をするのだ。そうかと思うと、ふいっと視線が外されることもあった。
無意識なのかなと思うのは、二人で会う時はまったく普段と変わりないし、別々に過ごす夜の時も電話越しでは変わった様子は微塵も感じなかった。恋愛偏差値が低かろうが高かろうがこちらが好感を抱いている相手の変化にはさすがに気付く、と思う。いや、思いたい。
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