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    ys1347

    @ys1347
    おそチョロ
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    ys1347

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    大丁R18
    ナンパされているところをたまたま丁に見られ感情乱される大

    真冬のプロポーズ 足を組み替えるたびに白くて細い太ももが見え隠れする。足の付け根のあたりまで大胆なスリットの入った赤いワンピース、それから毛皮のコート。一見さり気ない仕草に見えるが意図的にやっていることは明白だった。ルームミラー越しに視線が交わるたびに、舌先で唇の端を舐め取り妖艶に笑う。ルージュが眩しい。
     セクシーな見た目とは裏腹に落ち着いた上品な雰囲気がいやらしさを感じさせない。鷹揚な笑みと手練れた振る舞いから、大蔵が太刀打ち出来るような女性ではないことが分かる。
     とはいえ大蔵だって、ディープな世界に身を置いているような輩や豊満な胸を揺らすキャバクラ嬢の誘惑と無茶な要望をいなしてきた経験がある。そうやすやすと誘いに乗るほど、無鉄砲ではなかった。
    「――までお願い出来るかしら」
     行き先を聞いた瞬間、ぴんときた。
     時刻は陽が昇ったばかり。つい先ほど薄明を迎えた空を仰ぎ見ては、こんな時間からどうして、という疑念がよぎる。
    「………はいよ」
     不審に思ったところで客は客だ。警戒心は解くまいと、サイドブレーキを外しアクセルを踏んだ。

     女性の行き先は村の端っこにあるホテルだった。建物は古いがそれなりに名の知れた建築家が設計したらしい、重厚的な見た目が異様な存在感を放っていた。とはいえお世辞にも繁盛しているとは言い難く、今となれば利用しているのは、オカルト好きか訳ありのカップルくらいだろうか。
     暫くの間、沈黙を分け合う手持無沙汰な時間が続いた。後部座席から漂う甘い香水の匂いに耐え兼ね、さり気なく窓を開ける。窓ガラスの隙間から新鮮な風が入り込み、大蔵の頬を撫でていった。寒いけど、この匂いよりはいくぶんましだ。
     窓の外では雪がちらつく。今年の冬は、本当によく降る。
     女性が軽く身じろぎ、囁くように言った。
    「――吸っても良いかしら」
     どうぞ、と短く返事をし、前を向いたまま銀色の灰皿を手渡した。ありがと、と大蔵に倣うように短く返事をしたかと思うと、灰皿を受け取る時に指を撫でられてさすがにぎょっとした。細くて白い手は雪のように冷たい。
     冷静さを取り戻そうと、ハンドルを握り直す。タイミングの悪い事にちょうど緑土邸の前を通り過ぎた頃だった。さらに間が悪く、玄関に打ち水を撒いている丁呂介とはっきりと目が合う。一瞬フリーズ、通行人がいることに気付き急ブレーキ、慣性力でつんのめる、間一髪。
     前髪をかき上げながら女性が微笑む。
    「…ひとつも顔色変わらないのね」
    「…そう? 心臓バクバクだけど」
     いろんな意味で。

    「――弾むわよ」
     ホテルまであと僅かというところでストレートに誘われた。こんなチャンス一生ないんじゃない、と頭の中で悪魔が囁くが、残念ながら大蔵の心は決まっている。
    「弾むってなに?」
    「分からない?」
    「…俺はおすすめしないよぉ?」
    「どうして? 彼女に悪い?」
    「…彼女は、いないけど」
    「あら、そう」
     正確には彼女ではない。
     思わず口ごもると後ろから、「じゃあ、いいわ」とやけにあっさりとした返事が返ってきた。
     ホテルに着き、料金メーターに表示された金額のおよそ倍を支払って、女性は颯爽と降りていった。洋館を思わせる建物の脇には高級車が停まっている。運転席から降りてきた恰幅の良い男の腕を取り、女性が大蔵にウインクをした。
     口元が動く。読み取る。
    ――坊や、またね
     やられた。なけなしの純情を弄びやがって。
     一瞬だけ触れた女性の指の冷たさを思い返す。丁呂介の手も冷えているだろうか。
     会いに行かなくては、と咄嗟に思った。

     元来た道を折り返し村へと戻る。
     朝は車自体が少ないから、村の空気は排気ガスで濁っていない。陽光に照らされた雪が視界できらきらと揺れる。ここで事故ったら笑えないな、と思うと笑いが込み上げてきた。大蔵が死んだら丁呂介は泣くだろうか。いや、泣かないかもしれない。悲しみと怒りを綯い交ぜにしたような表情の丁呂介を想像する。そんな顔をさせるくらいなら、しがみ付いてでも生きなきゃ。
     緑土邸の周りは閑散としていた。近くの空き地にタクシーを停め、歩いて屋敷へと向かう。仕事中ということを思い出したが、働くよりも大切なことが時にある。
     すっかり打ち水が引いた玄関を通り、引き戸を叩いた。
    「――丁呂介さん、入るよぉ」
     返事も待たずに戸を開ける。簡単に開いたことに対して、驚きはなかった。むしろ予想通り。不用心だが、意味するところを想像すると、興奮すらする。
     勝手に屋敷の中を歩き回り、いくつかの襖を開けたところでようやく会えた。
    「――丁呂介さ、…あ、いた」
     丁呂介は奥にある一番広い座敷にいた。中央で正座をし、花を生けている。こおこおと音を立てて稼働する石油ストーブの周りだけオレンジ色にうねっているように見えた。
    「………泥棒ですか?」
     大蔵を一瞥し、丁呂介が冷たく言い放つ。冷静なように見せかけて沸点が低い丁呂介は感情が表に出やすい。胸の中で駆け巡る混乱と悲しみを必死に抑え込んでいる様子は、たまらないものがある。大蔵も、意地が悪い。
    「失礼な。お客さんだよ」
    「招いた覚えはありませんけど?」
    「鍵、開いてたし。…ま、いいや」
     首をすくめつつストーブを動かし、丁呂介の近くへと運ぶ。寒いね、と話し掛けたが無視をされた。怒ってる。嬉しい。可愛い。ごめんね。色んな感情が沸き起こってくる。
     立ったまま丁呂介の頭を撫で、髪の毛を指で梳いた。人差し指をくるくると動かし、巻きつけようとしたが繊細な髪の毛は大蔵の指の隙間を簡単に滑っていく。丁呂介からは清潔な匂いと心がぱっと華やぐ花弁の香りがする。
    「…言い訳でもしに来たんですか?」
     手にしていた花を丁寧な手つきで紙の上に置き、上目がちに大蔵を見つめた。
     丁呂介の瞳が揺れる。その奥に湾曲した大蔵が映っている。
    「言い訳ぇ?」
    「後ろめたいことがあるから、こうしてわざわざ、会いに来たのかと…」
    「んなわけないでしょ。なんか勘違いしてる? やましいことなんて一つもないから」
    「うそ、あまりにも妖しい雰囲気でしたけど」
    「そう見えたなら、ごめんね」
     誓って何もないよ。
     その場にしゃがみこみ、丁呂介と目線の高さを合わせた。右手で頬を包み込み、親指の腹で頬骨を撫でる。丁呂介の表情が少し崩れた。息遣いや瞳の色が増していった。
     落ち着き払った態度でリードされるよりも、これっくらいじゃじゃ馬の方が可愛いし好きだ。大蔵だけに見せる無防備な表情に、むき出しの感情に、その魅力に、いつだって翻弄されている。
    「…丁呂介さん」
     俯く丁呂介の額めがけて唇を押し付けた。ん、と甘やかな吐息。背中に手を回し骨張った肩甲骨をなぞる。指を握ると冷えていた。体温を分け与えるように、いたわるように、何度も何度も撫でる。
    「…軟派者」
     むっとした声にちょっと笑った。
    「ちげーし。こっちがナンパされたんだって」
    「どっちもどっち、ふしだらです」
    「して欲しいの?」
    「何を?」
    「ナンパ」
    「馬鹿なこと言わないで」
     抱き締めようとしたが押し返された。構うもんかと胸に包み込み、首元に鼻先を埋める。ちろ、と舌で首筋を舐めると、丁呂介が赤面した。
    「…あっ、や、だめ」
    「お兄さん、男いんの?」
    「…んっ、やあっ…」
    「ねえ、抱かせて?」
    「…ちょっと、ん…耳元で、ふ…」
    「俺が口説くのは丁呂介さんだけだよ」
     片手で帯を解く。しゅるしゅると艶めかしい音が灯油が燃焼する音に交じった。耳たぶを甘噛みしながら胸元をはだけさす。馬鹿馬鹿、と大蔵の胸の中で頭を振る丁呂介が、ぱっと顔を上げた。
    「勘違いしないで」
    「…ん、なにが?」
    「私は口説かれたわけでなくて、自分の意思であなたを選んだんです」
     そこは間違えないように。念を押すように言ったあと、乱暴にくちづけられた。
     口説こうと思ったのに、口説かれてしまった。それも骨抜き。
     
     押入れから布団を一組取り出し、ストーブの前に敷く。性急な手つきで服と着物を脱がし合った。
     凍えてしまわないよう毛布をかぶったまま丁呂介を組み敷いた。シーツに絡めた指を縫い付け、腰を揺らしながら先端を擦り合わせる。先走りが潤滑剤となり、快感が加速していく。
     こめかみから頬、顎のライン、首筋、二の腕、上から順番にきめの細かい素肌に唇をつける。そのたびに丁呂介が気持ち良い、と感動したように吐息を漏らした。
    「…ん、大蔵さん」
     キスして、と視線と喉奥で響かせるようにねだる。お望み通り、キスで応える。
     上唇を食みながら胸元を弄ると、丁呂介が眉を寄せてよがった。
     あ、あ、あ、と唇からぽろぽろと零れ落ちる嬌声が堪らない。何度聴いても聴き足りない。人の記憶は聴覚、つまりは声から忘れていくとよくいうが、きっと例外だってある。
     べたべたにキスをしていると、初めて体を重ねた夜の思い出が突然フラッシュバックした。興奮と緊張で体は震え、かっこをつけたいわけではないのに、触れ方が分からず焦れったい愛撫を繰り返す様子を、どう受け取ったのか丁呂介は「慣れている」と感じたらしい。初めてだと伝えると、大仰に驚いて、それから嬉しい、と泣いて笑ったのだ。
     今は目の前で丁呂介が大蔵の胸を舌で刺激しながら、勃ってる、と嬉しそうに呟く。頭をかき撫ぜ、耳の中のおうとつを舌でなぞった。
    「…コンドーム、ある?」
     ぴちゃぴちゃ、とやらしい音が自分の鼓膜にも響いていた。
    「…ある、あります… 帯、のとこ」
    「………は?」
     驚いて丁呂介が着ていた着物の山に視線を移動させる。大蔵が来るかも、と思い帯の裾に忍ばせていたらしい。
    「…大胆ね」
    「はしたなくて呆れた?」
    「ううん、興奮した」
    「…変態」
     この状況ではどう見ても丁呂介の方が分が悪いのに。強気な態度を真正面から受け、いとしさで胸が張り裂けそうだった。
     必死に腕を伸ばしてゴムを手に取り開封する。装着しようとしたら丁呂介に奪い取られた。
    「…私が、してあげます」
     断る間もなく―というか願ったり叶ったりだけども―、ごそごそと布団の中を移動し、すでに膨らんだそこにふっと息を吹き掛けられる。
    「…いきますよ」
     くぐもった声が足元から聴こえてくる。手で何度か扱かれ、硬くなったそこに薄い人工的な膜が覆いかぶさる。あっと思った時には熱い咥内へと誘われていた。
    「…えっ? …ぅわっ、…ちょ、…待っ、あっ…」
    「…んっ、あんまり、うごかないで…」
     歯が当たるたびに性感帯をくすぐられるような、なんともいえない快楽がせり上がってくる。次から次へと唾液が溢れてくるのか、丁呂介は喋りにくそうにしていた。
    「…あんま、舐められると出ちゃうかも」
    「早漏」
    「んっ、お前のせいだろ、もういいから…」
    「…やっ、待って、あと少し…んっ、これで、ぴったり、はまりました…」
     布団のなかで体を傾け、丁呂介の両脇に手を挟み込んだ。
    「丁呂介さんが上手くてエッチなのは、じゅうぶん分かったから」
    「………エッチじゃないです」
    「そう?」
     そのままぐっと引っ張り上げ、視線を合わせる。口淫したばかりの丁呂介の唇が濡れている。呼吸も荒い。早く抱いて、と瞳が訴える。
    「こんなに、なってるのに?」
     熱を持った丁呂介のそこを右手で包み、上下左右に刺激した。そのまま丁呂介の体を反転させ、寝たままの状態で後ろから抱きしめる。円を描くように腰を揺らし、きゅっと締まったそこに膨らみを当てた。
    「…んっ、私、後ろから、好きです」
    「これ、きもちーよね。でも解さないと」
     振り返った丁呂介とキスをしながら人差し指を尻孔に移動させる。ひくひくと収縮を繰り返すそこを指でとんとんと叩き、二人分の先走りを指に馴染ませた。第一関節まではするりと飲み込まれ、内壁を抉るようにして指を小刻みに揺らす。
     熱くて柔らかい。指に馴染む素肌、首筋にかぷりと噛みつきながら、指を二本に増やした。
    「…ん、もしかして、準備した?」
    「…しちゃった」
    「………あ、そう」
     八重歯に感じる丁呂介の皮膚、痕がつくように吸い付く。下の方は指をでたらめに動かして穿つ準備を整える。
    「…んっ、…きもち、…奥も、…んっ」
     挿入れて、と願いの言葉ごと口の中に閉じ込めた。キスをして、後ろから抱いて、足を絡めて。寒いからと身に付けていた足袋が身じろいだことによって外れてしまった。足の指で丁呂介の足の甲をなぞると、細い背中が戦慄く。
    「…あっ、大蔵さ、んっ」
     ぐちゃぐちゃと正気では聞いていられない音が響いている。部屋はようやく暖かくなってきた頃だった。
    「…いくよ」
    「んっ、んっ、…あっ、はいってくる…んぁっ…――」
     先走りで濡れた兆しをぐっと押し込むと、その瞬間に丁呂介が熱を吐き出した。挿入れただけで射精したことに驚き、咄嗟に動きを止めると、丁呂介が腰を揺らしピストンを強請ってくる。
    「…腰、揺れてんだけど」
    「…あんっ、動いて、くれないんですか?」
    「…んっ、動くけどさ」
    「あっ、あっ、そこ、…すっごい、もっと奥まで、お願い…――」
     奥が擦れるように腰を突き出す。本人に自覚がないところが性質が悪く、それでいてしびれるほど官能的だった。
     丁呂介が軽く振り返って大蔵の頭を抱き寄せる。おでこをつけながら、そこきもちい、と涙腺が崩壊しそうな顔で笑う。隆起した喉仏を視線でなぞり、むき出しの肩に噛みついた。
     口いっぱいに広がる、丁呂介の味。 
     どうしてこんなにも好きなんだろう。丁呂介じゃないと得られない感情がある。
     そのまま果てる。丁呂介のなかで。

     ストーブの熱風がちょうど耳のあたりに当たる。少し暑いが起き上がる体力はなかった。色香を纏った丁呂介を胸に抱きつつ、余韻の中を微睡んだ。
    「………あちぃ」
    「贅沢ですね」
     私は寒いです、と文句を言いながら大蔵にすり寄ってくる丁呂介が可愛かったので、無愛想な表情もおおめに見てやろう。
     どうして丁呂介が良いのか。どうして人は誰かを好きになるのか。
     生意気で不器用な部分や、冷たくあしらうわりに、根が優しく面倒見が良いからか、大蔵のことを放っておけない。絶妙のタイミングで胸を逆なでする言葉も吐けば、ずっと欲していた言葉も紡ぐ。計算しているようには全く思えないから、誰も太刀打ちできない。敵わないな。心底思う。
     ぎゅっと抱き寄せた丁呂介の体は火照っていて温かかった。
     鼻孔をくすぐる優しい匂いに堪らず目頭が熱くなる。大人になってから泣きそうになったのは、実は初めてのことかもしれない。
    「…どこへも行かないでね」
     俺を置いて、とまではさすがに言えない。
     丁呂介の肩に額をつけ、くぐもった声で呟くと、丁呂介が眉を寄せた。
    「…どこかへ行きそうなのはあなたの方ですけどね」
     あなたにはタクシーがあるでしょ、そうさびしそうに言われた。車持ってる人は多いだろ、と反論すると、仕事として常日頃からハンドルを握るあなたとは違う、と言い返されてしまう。
    「どこへも行きませんよ」
     指を絡めながら丁呂介が凛とした声で言った。
    「どこかへ行くときは一緒に行きましょう。あなたがどこかへ行くときは、一緒に連れて行って」
     それが永遠でも、刹那的な旅の話でも良い。丁呂介がそう笑ったことに胸を打たれ、口説かれていると自惚れる。
     再び反応を示す大蔵に、丁呂介が訝しげな顔で尋ねた。
    「…もういっかい、します?」
    「そうしたいけど、仕事戻んないと」
    「あら、わりとまともなこと言うんですね」
     惚れ直しちゃった。耳元で囁かれて、それはこっちの台詞だよ、と丁呂介の唇を唇で塞いだ。
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