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    kanoxoxe

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    チェカレオワンドロ【教育】
    年齢操作有
    *特に死の表現はありませんがあまり後味良くはないので、自己責任でお願いします

    #チェカレオ
    checaleo

     レオナの視界から太陽が消えた。一瞬のことで、レオナが反応したのは半拍ほど遅れてからだった。レオナの口から零れた間の抜けた声は、喧騒に掻き消されて誰にも聞こえなかったことだろう。呆けるレオナの目の前を幾人もの人が慌ただしく行き交い、砂埃が渇いた空気に乗って舞い上がる。

    「早く救助を!」
    「木に引っかかっている!王はご無事だ!急げ!」

     崖下を慎重に覗き込みながら騒ぐものや、その声を受けて走り去るもの。周囲の時間から置き去りにされたようにレオナはただ立ち尽くしていた。そんな空気を甲高い声が切り裂いて、レオナはようやく声の方へと向き直る。一人のカラカルの獣人の男が大きな耳をぐるりと回し、レオナを指差し叫んでいた。

    「いまだにファレナ様の命を狙っているとは…!チェカ様お下がりください!」
    「……レオナ、さん?」
    「ファレナ様の足元を砂へと変えて、崖の下へと落とすなど!」

     その声に一斉に視線を足元へと送れば、レオナのすぐ近くの足元は色が変わり大きく抉れ、細かな砂粒を残し形を変えていた。そこはつい先ほどまでファレナが立っていた場所。そして当のファレナは今ここにはいない。崖下を覗き込む者達の声を聞くのであれば、ファレナは今この崖より落ちて途中の木の上にいるらしい。まだレオナもチェカも確認はしていないが、周囲の慌しさを見れば間違いはないのだろう。
     そして先ほど叫ばれたことにより、チェカの周りの兵はレオナへの敵意を全身で表している。あれだけの岩肌を一瞬で砂に変えられるのは、この場ではレオナ以外誰もいない、そう思うのに十分だったからだ。
     そういうことか。レオナは小さく舌打ちするが、結局は何も変わらない。嵌められたと思ったとて後の祭りだ。今この時を狙われていたのだと気付くが、この状況で誰が弁明を聞くというのだろう。
     チェカが一歩前へと歩み寄る。

    「レオナさん。ねえ、違うと言って?」
    「違うと言って、お前は信じるのか?」
    「お願い。聞かせて」

     手を広げ何もないと見せようとも、兵たちの表情は一切変わらなかった。何も持たずともそれだけのことは出来るのは、当然誰もが知っていた。レオナはほんの少し手の平を持ち上げただけ。それだけで兵たちの緊張感が増していく。
     何度も見た光景だった。猜疑心の塊の前に何度立たされたのだろう。レオナは苦笑する。ここしばらく自分がこの光景を忘れていたということにも、レオナ自身少し驚いていた。それは幸せだったのか、不幸だったのか。もうレオナにもわからない。

    「お前にはどう見えた」
    「わからない。ねえ、レオナさん」

     チェカの即位直前、下見にとこの場にファレナ、チェカ、そしてレオナが揃うのを狙われていた。このタイミングだったのだ。レオナを失脚させ完全に排除するには、どこかの誰かにはちょうどよかったのだろう。

    「はっ、わからないだ?お前が決めることだ」
    「レオナさん」

     一つ笑い飛ばすとレオナはじっとチェカを睨みあげた。不安に揺れていたチェカの瞳が赤く燃え、レオナの視線を射抜き返した。ああ、ひさしぶりに見た。レオナはつい上がりそうになる口端を必死に抑えた。
     きっとこれは必要なことだったのだ。タイミングの問題なだけ。ならば最後に一つ、この小さな獅子に与えてやろう。

    「チェカ・キングスカラー。さあ、どうする?」

     レオナは目を細め、チェカをじっとりと見つめた。ゆるりと上がった口元を強く吹き付ける風に舞い上がる髪が隠した。迷うな。そう教えたはずだ。王ならば、と。

    「レオナ・キングスカラー。貴方を王殺害未遂の容疑で拘束させていただく」
    「それはそれは」

     真っ直ぐと力強い声が辺りに響く。幼さなど消えた地を震わす重い音。その声に静まりかえった中に、小さく「殺せ」と甲高い声が上がった。緊張感に包まれた兵は声を合図に一斉に槍を構え、魔力を込め始める。

    「殺すな!」

     チェカが叫んだ時にはもう遅かった。興奮状態の兵たちは単純にその言葉を飲み込むしかできなかったのだ。次にチェカが目にしたのは爆煙に包まれ、崖下へと吸い込まれるレオナの体。表情はおろか、あの美しい雄弁な緑翠が何を物語るのかを見ることも叶わなかった。

    「レオナさん!」

     ああ、最後までくだらなかったな。遠ざかる空を見つめながらレオナは笑う。空には雲もなくただ無限の青が広がるだけ。けれど最後にレオナの瞳に映る太陽は、赤く煌々と燃えていた。消えることのない迷いのない熱さに、レオナは笑いがこみ上げるのを抑えられなかった。愉快な笑い声は破裂音に紛れて誰にも届くこともなく消えていく。

     それでいい。迷うな。王であるならば。

     この国を照らす唯一の太陽。それはこの空を幾日も同じように昇り、全てを同じに照らし続けねばならない。どんな時でも、その日が沈むまで変わることなく。命の続く限り。

    「……Long live a king」

     唯一見えた尾の先と靴。必死に駆け寄りチェカは崖下を覗き込んだ。焼け焦げ崩れた足場から覗き込んだその瞳の先にはもう何もなかった。ただ同じ色の色が広がるだけ。
     あの意志の強い黒い鬣も、思慮深い澄んだ緑翠の瞳も、その後見たものは誰もいなかった。


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    kanoxoxe

    DONE「日常の特権」

    *付き合ってるチェカレオ
    *年齢操作有
    大きな窓から眩いまだ色のない日差しが部屋に差し込んでくる。柔らかな夢が徐々に白く薄れていき、ああもう朝か、とチェカはゆっくりと目を開けた。夜にはひっそりとしていた天蓋が日差しを浴びて光り、その輪郭をぼやけながら目の前に現れる。
     あふ、と小さくあくびをかみ殺し窓を開けると、爽やかな風と軽やかな鳥の声が舞い込んだ。その一吹きで部屋に篭った夜の匂いがふっと薄れていった。胸いっぱいに吸い込むと、甘い木々の香りが広がる。
     緩く身に纏う夜着から着替え、鏡に映る自身の髪や顔を軽く整えた。ひんやりとした水の感触が、先ほどまでのぼんやり寝ぼけた顔を変えてくれる。

    「……さて」

     チェカは物音のしない静かな廊下へと歩きだした。まだ眠りから覚めていないひんやりとした廊下に、軽やかな足音だけが響き渡る。

    ――トントン

     重厚な扉をノックするがその音だけが木霊する。仕方なくそっと中を覗くと部屋の主はベッドの上で丸まっていた。足を丸めているのか、薄掛けの布団は小さな山を作っている。布団の端から覗く小さな耳がぴくりと動くが起きたわけではないのか、身動ぎ一つなかった。
     音をたてないようそっと布団をずらす 5887

    kanoxoxe

    DONE「誰も知らない」

    *付き合ってるかも知れないチェカレオ
    *年齢操作有
    *D/S要素を少し含みます
    僕の叔父さんはすごくカッコイイ

     一族の中でも特に魔法力に優れ聡明な叔父は、NRCを卒業後この国に戻り政務にかかわるようになった。最初こそその強大な力を恐れられていたが、叔父はすぐにその有能さを見せ付けてそんな思い込みを抑えこんだ。表だって何もできずただ裏で謗っていた者は、そんな叔父の冷静な対応に、苦虫を噛み潰した顔をしていたが仕方ない。叔父の方が一手も二手も上だっただけだ。
     そもそも叔父がNRCに入学ししばらくこの国を離れていたこと、そもそも祖父から父に王位が移ったことで国内の状況自体が少し変わっていたのかもしれない。乾きの王子としてのイメージは、今の小さい子にはほとんどないのだろう。むしろ学生時代のマジフト選手として多く報道されていた印象が強いのか、子供達には伝説のヒーローのように思われてさえいる。僕も大会に出場した時は、毎回叔父の話になるくらい今でも有名なのだ。実力も才能にも恵まれた、レオナ・キングスカラー。そしてそれが彼の努力によって裏付けられているのを、僕は知っていた。
     彼の部屋にはマジフトに関する書物も山の様になっていたし、彼の手には箒やディスクを長く触った跡がたくさ 3247