初恋エンドロール③「あるじゃん? 記憶消してもっかい楽しみたい映画とかマンガとかゲームとか? それ出来るってよく考えたらすげくね?」
陽気に喋る少年は、流石のイカレ具合だった。
五条の自室である地下室は、五条にとっては馴染んた部屋であるが、虎杖にとっては何処までいっても知らない天井でしかないだろう。
虎杖が五条の高専の生活スペースに住むことになってから、初めてのおはようの時間がやって来た。一日で記憶がリセットされる虎杖だから、朝起きてすぐに五条と顔を合わせることを何度繰り返しても、記憶には残らない。明日になったらまた初めましてになる。
だからこそ、五条は憶えていたい。
タイマー通りに寝室のライトが全灯になる。虎杖の部屋も同じ設定にしてあるから、覚醒はしている筈だ。さて朝はなんて言って顔を合わせようか、と五条はベッドの上で首を捻った。
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