【曦澄】私がいちばん大人気ないとは思ったけれど、それでもどうしても譲れなかったのだと言ったなら。
貴方は笑うだろうか。
「宗主。藍宗主より贈り物が届いております」
「またか。最近多いな」
そうですね。あ、こちらは書簡です。
そう言って捧げ出されたものを受け取る。書簡と贈り物。
中を改めれば、疲れてはないかとこちらを労る言葉とともに、眠りが穏やかになるからと合わされた香が包まれていた。
「ふむ」
特に取り立てて用はなさそうな。落ち着いた頃に雲夢を訪れたいとは書かれてあるものの、まだ先の話、日取りも決まっていない話だ。
完全に私信の類の、江澄を労るためだけに送られたもの。
「宗主の働きすぎを心配なさっておいでなんですよ」
「そうだろうが、噂にも上がらぬことをどうやって勘づくんだ?」
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