次期社長としての勉強の合間、マイカの巫女としての行儀見習い。
お茶、お花、踊り、薫物合わせ。
勘が良いからだいたいすぐに覚えるし手際もいい。
「スイ様に教えるの、楽しいったらないのよねえ!」
おカンが豪快に笑う。
巫女衆も、美しく気立ての良いスイに心酔していた。
誰もが、彼女が大巫女として代替わりする日を待ち焦がれている。
日々を忙しく過ごす中、スイの中で生まれた望みがあった。
「お母さんの薫り…私にもつくれるかな」
「……ああ、ああ。もちろんじゃとも。教えてやろう」
母から娘へ引き継がれていくその技法。
娘を失ったコズエから、母を失ったスイへと。
此の先はきっと、舞歌のように連綿とした連なりを、またつなげていく。
315