煙に羨望(仮題)芹:草太、コレ行かね?
芹澤は煙草を吸う仕草をしながら草太に声をかける。
ゼミ終わりの教室は開放感に溢れ、ざわめいていた。芹澤も、ようやく開放され、ひと息をつきたいと思い、先週知り合ったばかりにも関わらず同じゼミでまた隣の席に恵まれた草太に声を掛けていた。
草:あ…俺は煙草は
芹:もしかして、吸わないほう?
草:あぁ
芹:なんだー
色々な話をしつつ休憩もとれる、しかも大学入っての初めての知り合いに(友人)という一石三鳥のチャンスと思いきや、当ての外れた芹澤は少し大きめの声で残念がった。
それを見て、おかしく、でも嬉しく感じた草太は
草:でも、休憩はしたいかな
と思わせぶりな顔をして、芹澤の誘いを受けた。
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芹:お前はこっちな
草:やさしいんだな
風上にいるよう草太を誘導する芹澤、
風はそれほどつよくは無いが、
男相手でも気を遣う芹澤に草太は感心した。
芹:これでも紳士なんで
草:ではお言葉に甘えて
芹:お前…今のはツッコむとこだそ?
草:?
初めて会ったときもそうだったな、と芹澤は初めて声を掛けた時のことを思い出しながら、自分の見た目とは裏腹な発言も素直に受けてしまう草太に、良いとこの育ちなのではと疑念を抱いていた。
もしくは天然か。