暴かないでマイダーリン 触れないで、優しくしないで、突き放してくれていいから。
どうか期待をさせないで。
僅かな息苦しさに目を開く。低い排気音、カーテンの向こうに薄明かり。見慣れた安アパートの天井を見上げていた。タイミングよく鳴り出したアラームが耳をつく。
「ぅ、あさ……起きないと」
ぼんやりと起き上がってスマホのアラームを止める。なんとなく体が重いがいつもの事だ。のろのろ移動して鏡の前に立つと眠たげな自分がいた。祖父譲りの褐色の肌に黒い髪。冷たい水で顔を洗えば少しだけ意識がはっきりする。朝ごはんを食べて、学校に行くための準備、時間が余ったらニュースを流しながら内職、というのがソロモンの朝だった。
『昨夜都内のホテルで一人の男性が救急搬送されました。男性はSubである事から行き過ぎたプレイが原因と見て捜査が進んでおりーー』
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