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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    ガンマト。診断メーカーのお題で書いたもの。

    #ガンマト
    cyprinid

    飼育「ただいま」
     ガンガディアは言いながら自室のドアを開けた。すぐドアを閉めて小さな姿を探す。部屋はしんと静まりかえっていた。
    「大魔道士?」
     マトリフにはこの地底魔城のガンガディアの私室を自由に使わせている。マトリフはすぐに顔を見せた。ベッドのシーツに潜り込んでいたらしい。マトリフはそこから抜け出すと、飛翔呪文で飛んでガンガディアのところまできた。
    「なにも問題なかったかね?」
     マトリフはこくりと頷いてガンガディアの肩に座った。ガンガディアは指をマトリフに向ける。その指はマトリフの歯型だらけだった。
     マトリフはガンガディアの指に頬を擦り寄せる。今日は噛まないのだろうかとガンガディアが思っていると、マトリフはかぱっと口を開けてガンガディアの指に噛み付いた。ピリリと痛みが走る。マトリフは口を離すと歯型を確認してからそこを舌で舐めた。それはマトリフなりの愛情表現なのだとガンガディアは思っていた。
    「今日は本を読んでいたのかね?」
     見れば本棚の前に本が散乱している。ガンガディアはそれらを拾い集めた。その一つをマトリフはガンガディアより先に拾い上げる。それはガンガディアがマトリフに与えた日記だった。マトリフはそれをガンガディアには見せたがらない。いつもこっそりと書いている。ガンガディアとしてもプライバシーは守るつもりだ。
    「大事なら片付けておかないと」
     マトリフはプイと顔を背けると飛んでいってしまった。一応マトリフ専用のベッドも用意してあり、その枕の下に日記を隠している。だがマトリフはいつもガンガディアのベッドで寝るので、そのベッドは日記の隠し場所としてしか利用されていなかった。
     マトリフはすぐにガンガディアの元に返ってくると、それからはずっとガンガディアの肩の上で過ごした。ガンガディアの読書中も、その肩の上で一緒に本を眺めている。食事中もマトリフはガンガディアの肩に座ったまま、ガンガディアの手から食事を受けとっている。マトリフはガンガディアが帰ってからずっと離れないのだ。
     やがて夜になると肩の上のマトリフがウトウトとしはじめる。ガンガディアの耳を掴む力も弱くなってきた。
    「もう寝ようか」
     マトリフはふるふると首を振る。だが今にも肩から落ちそうになり、ガンガディアはその身体を掴んでベッドに下ろした。
    「ん」
     マトリフは喉を鳴らしてガンガディアを呼ぶ。手を伸ばしてガンガディアがくるのを待っていた。ガンガディアは読書の続きを諦めてベッドに横になる。
    「おやすみ、大魔道士」
     マトリフは笑みだけ返して目を閉じた。その首にはまった鉄の輪のせいでマトリフは発声ができない。詠唱なしで使える呪文なら使用できるが、上位呪文となると流石にマトリフでも詠唱を必要とした。
     ガンガディアはマトリフを抱きしめる。この部屋にマトリフを閉じ込めて、これからずっと一緒に生きていくのだ。


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    kisaragi_hotaru

    DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。
     乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
     「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
     「いいよん」
     モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
     そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
     「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
     トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
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