抗う者達⑩ 目を覚ますと、ライトグリーンのぼやけた天井が志海の視界に映し出された。
天井だ。眼鏡がないのではっきりとは見えないが、間違いなく天井である。
灰色の空でも、
黒い洞窟でもなく、
屋内の、天井。
「っ……」
ここは、と呟こうとして声が出なかった。まるで喉の壁面がくっついてしまったかのようだ。
周りを見回そうとして、首が満足に動かせないことにも気付く。それどころか、体自体が動かない。錆び付いてしまった機械のように軋む。力が入らない。
目は? 目は動く。まばたきもする。
呼吸もできる。
首。あ、なんとか動きますね。ゆっくりと、少しずつ。
狭い部屋だった。ベッド一つと、椅子と、小さな棚。まるで病院の個室だ。もしかして本当に病院だろうか?
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