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    konatu_0722

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    konatu_0722

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    #刑桐
    paulowniaWood

    「すげー…」
    「首が痛くならないのかい?」
    仰け反り見上げる桐ケ谷を心配するように、刑部は首を傾げる。屋根より高いと歌われるが、おそらく地元で一番高い空を泳いでいるのは、刑部の家の鯉のぼりだ。若い衆が飾りつけたのを、さっそく学校帰りに見に来た。
    「風吹くとすげーな。ほんと泳いでるみたいだ」
    目をキラキラと輝かせて興奮する姿に、刑部は少しの照れと、申し訳なさが立った。彼のようにはしゃいで見せれば、お祖父様たちにも喜んでもらえただろうかと思うが、冷静に検分するのは性分だ。
    「兜も出しているよ」
    「マジで?見たい!」
    いわゆる格好いいものが好きな桐ケ谷は、予想していた通りに飾ってある兜に興奮した。おやつに出された柏餅もたくさん食べて、お腹いっぱいになったのか縁側で眠ってしまっている。側には、新聞紙で作った兜と刀が転がっている。
    桐ケ谷が山浦に聞き、二人で作ったものだ。刑部一人なら鯉のぼりや兜をただの飾り物とだけ認識していたし、新聞紙の兜も作ることはなかった。桐ケ谷がいると、刑部の世界が広がっていく。知らなかった驚きや楽しみが、胸を満たしていく。
    「君といると飽きないね、晃」
    真似するように、桐ケ谷の隣に横になる。縁側で寝るなんて、今までしたことなかったが、やってみると暖かくて気持ちいい。
    目線を上げると、桐ケ谷の顔がすぐ側にある。
    すぴすぴと眠る桐ケ谷の口元に餡が付いたままなので、それを指で掬って舐めとる。
    不思議とさっき食べたよりも、甘い味がした。
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    konatu_0722

    MOURNING日常推理モノが書きたいと頑張ったけど、面白くないのでここで供養
    「呪いって信じるか?」
     深夜午前二時。明かりを消して怪談話をするにはもってこいの時間だが、同じベッドに眠る刑部は興味の欠片もないようで欠伸をしている。桐ケ谷だって別段、怖い話をしようと考えたわけではない。ただ単に、ふと思い出しただけだ。
    「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
    「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
     興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
    「詳しく話してみろ」

     まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
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    konatu_0722

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    「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
    「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
     興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
    「詳しく話してみろ」

     まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
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