短文(AMETHYST* 世界と旅人) 自分のことが嫌いと言うのは結局表層的な真実でしかなく、本当はひたすらに自尊心のみが存在している。だからこんなにも悲しくなる。僕と言う人間を言葉で説明すると世間一般で人から好かれるような人格とは遠い存在が表れる。どんなに言葉を駆使しようにも、この世に在る言葉ではこれが限界だ。
僕は僕が大切でならないから他人にも大切にしてほしい。だと言うのに、この言葉達から想像し得る人間性を好ましく思う人が世に存在するとは思えない。今までもそうだった。誰もこんな人間を良しとはしないのだと知った時にはもうボロボロだった。
「信じてみて」
それだけを彼女は言って、僕の前から立ち去った。まるで幻のような雰囲気で佇む奇妙な彼女のその言葉は、妙に耳に残った。
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