サクラ舞フ・後編その人は姉のよう存在の先輩審神者さん。大学生ながら審神者を努めている。高校2年の時に新設で本丸をもったと。
ただ、顔のいい男が苦手って事で側に置く刀剣男士は限られている。人は斜め上な性格をしていると言うが、鶴さんのやることで見慣れたのか特には「ん?」と言うのはない。ただ、側に置く男士はちょっと変わっている。
現在の本丸に預けられる前の記憶がない。怖いといえば怖い。けれど生活には支障はないし、思い出さない方がいいのでは?とも思う。ただ、うっすらと何処かの本丸にいて、そこで鶴丸国永、太鼓鐘貞宗、燭台切光忠、大倶利伽羅と通称:伊達組に面倒を見てくれたのもあり、違う本丸でも、見知った『彼ら』にはつい声をかけてしまう。気がつければ、ワタシの付き添いは伊達組となった。
各本丸は個体差はあるらしく、同じ刀剣男子でも性格は全く違う。
特に、大倶利伽羅ことカラちゃんはずば抜けて違う。
大倶利伽羅といえば無愛想の一匹狼の代名詞とか。
けれど、ワタシにしてみれば、表情の変化はちゃんとある。ちょっとわかりにくいが。
でも、いつからだろう。側に居てくれるカラちゃんが他のカラちゃんとちょっと違う気がする。する?という疑問。
初めに言った女性の先輩審神者さんの所のカラちゃんは完全なる一匹狼だ。
見慣れているカラちゃんと違くて、ちょっとびっくりする。ものすごく硬い表情だが、決して自分の主人の先輩審神者さんには嫌悪感はない。でも人見知りがある。大半の人のカラちゃんはそんな感じなんだろう。たぶん。
「どうした?」
学校帰り。本日のお迎えは、そのカラちゃん。いや、大体の迎えがカラちゃんだ。
なんでも鶴さんだと、そのまま道寄りして帰る、悪事を働くって事でお迎え禁止になっている。あと、割と目立つ。
じっとカラちゃんを見てしまう。
最近、気づいたのだが歩く速度に合わせてくれる。ワタシの学校であったことを話すのと、すんなりと聞いてくれる。表情も割と豊か。時々、驚くほど優しい顔をする。多分、ワタシを手間がかかる犬や猫と思っているんだろう。
「なんだ、俺の顔に何かついてるか。」
ブンブンと顔を横に振る。何が楽しいのか、ククッと小さく笑う。って笑う?カラちゃんが笑う?
いや、普段から笑ってるか。本当に極僅かな変化だが。
「ささっと帰るぞ。他の奴らが心配する。歌仙に言われるぞ。」
居候先の本丸を取り仕切り近侍は初期刀の歌仙さん。被害がない遊びならいいが、常識的なルールを破ると雷が落ちる。
「歌仙さんの雷は怖いから帰ります!」
通学鞄の取手を握り占めて、早歩きで指定の本丸までの転移先に歩く。
カラちゃんは、そんなワタシの速度に歩幅を合わせる。
冷たい言葉を吐くが、根は優しいカラちゃん。あの鶴さんに呆れながら付き合ってるからね!
「今日の晩御飯は?」
「さぁ。光忠が当番だから美味いのは確かだ。」
「うわ、雑。」
いや、カラちゃんがグルメ評論したら、それはそれで怖いな。
「カラちゃんは料理しないの?」
「考えたことないな。」
「じゃぁ、みっちゃんに教わりながら作ってみる?」
「鶴丸がいないなら。」
「それは難しいなぁー。って、いなかったら一緒にやってくれるの?」
「考えておく」
断らないってことは一緒になってくれるってことだ。ちょっと嬉しくで顔がニヤつく。
「なんだ?」
「さぁ?」
「あんたといい、鶴丸といい時々、よくわからない。」
「んー、お姉さん言ってたよ。未来はわからない方が面白いって」
「そういうことじゃない。」
側にいるカラちゃんは別の大倶利伽羅と比べてよく喋るんだろう。多分。比べる対象が少ないので確信はない。
「だが、それも悪くはないな」
また、やわらかい顔でワタシをみる。なんだろう、眩しいような顔。とてもむず痒いぞ。
定期的に場所を変えている転移所につき、居候先の本丸に帰宅する。
玄関に行くと近くにいた、みんなが「おかえり」っと返してくれる。それに「ただいまー」と返事を返していく。
その日は、雅ではない!っと後で怒られそうなぐらい大きいな足音を立てて、鶴さんとみっちゃんがくる。
2人は焦った顔をしていて、ぎょっと身構えてしまう。
「変わりはない?」
「変化はなさそうだな。」
みっちゃん、鶴さんという。
「な、なに?」
「なんだ、お前ら。鶴丸はいいとして、光忠もどうした?」
驚くワタシよりも、2人はカラちゃんに対して言っている。なんだろう?
2人ははぁーっと長いため息をついて「変化がないならそれでいい」といい「夕食の準備はできてるから、荷物を部屋に置いて大広間においで」と、いつものようにワタシの頭をぽんぽんと叩く。いつもと違うやりとりに首を傾げながら「はーい」といい自分の部屋に歩く。
天然無自覚な2人。続かない。