「レオ、飲み過ぎ」
そう言って缶ビールを取り上げたのは、さっきまでシャワーを浴びていた凪だった。すぐに羽目を外すんだから……と小言を零して、テーブルの上に突っ伏していた俺を引き上げてくれる。ふわっと体が浮く感覚に、俺はキャッキャと馬鹿みたいにはしゃいだ。
「やべぇ、ふわってした。もう一回!」
「ヤダよ。持ち上げるの重いんだから」
まるでお姫様みたいな扱いでソファの上に降ろされて、ふふっと笑ってしまう。こんなふうに凪の恋人も抱き上げられているのかなぁ、と思うと複雑だったが、二番目に大事にされていると思えばギリギリ許せた。バタバタと足を動かして、離れていこうとする凪の気を引く。
凪はため息をつくと、我儘なお姫様だね、と呆れた顔で俺を見た。
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